新興企業・外資系は、リスクの内容が事前につかみにくい

 次に、新興企業と外資系という分類で話を進めていきますが、本来はこうした一括りは適切ではないでしょう。新興企業・外資系については、さまざまな面での各社間での差が大きいからです。

 つまり転職のリスクも、その内容が個別に変わってくるということなのです。最も危険なことは「ベンチャー企業だったら、こんな社風だろう」とか、「外資系だったら、こんな仕事の進め方をするはずだ」と思い込み、それに合わせたリスクだけを想定してしまうことです。

 たとえば組織文化の個別性の違いは、新興企業・外資系では、日系の有名大企業より大きいものとなります。新興企業の場合、一定の比率でオーナー企業が存在します。ここに、よく考えておくべきポイントがあります。

 組織文化とは、オーナー、特に創業者から大きな影響を受けます。オーナーの考え方の違いで、組織文化の内容がまったく異なってきます。また外資系企業の場合、どの国の系列かによって微妙に組織文化は変わってきます。そうなると、やはり自分に合った組織文化であるかどうか、なるべく事前に確認しておくべきでしょう。

 なお、日系企業、外資系企業という括りは一般論にすぎませんが、それを承知のうえであえて特徴を述べますと、外資系企業では人事制度の中心に職務という考え方があり、個々の社員が担当する職務は明確に定義されています。これは、個々の社員の責任範囲が明確化していることを意味します。すなわち、不必要な根回しは行なわずともすむわけですが、そのかわり自分が判断したことの責任は明確になります。

 そのため日系企業から外資系企業へ転職する際は、「多くの人に根回しするのは得意だが、意思決定はゆっくり」というスタイルを、「根回しは最低限でいいが、意思決定を迅速に」というスタイルに変更しなくてはいけないのです。