入社前とのギャップは必ずある

 転職先に関する事前の情報収集は重要ですが、どれだけ緻密に事前の情報収集をしたとしても、ギャップをゼロにすることは不可能です。やはり入社してみて、はじめて理解できることは少なくありません。

 ですから、なるべくギャップをゼロにするのではなく、何か必ず期待はずれのことがある、予測できないことがある、という心構えで入社するくらいでちょうどよいのではないかと思います。期待どおりのこと、また期待以上のことがあれば、ラッキーだと思えるくらいですと精神的にラクになるでしょう。

 各社の人事部長の話を聞いても、やはり入社して30日、または90日くらいの節目で転職者が失望していないか、細かく気配りをするそうです。裏を返せば、入社直後の90日くらいで失望してしまう転職者がそれだけ多いのが実態なのです。

最初の半年は、誰でも成果を出せない

 即戦力として転職した場合、成果として期待されることは、職場に何らかの変革、またはイノベーションをもたらすことでしょう。これは、社内の多くの人からの協力を得ることによってはじめて達成できるものです。

 そうなると、他人からの信頼を勝ち得るまでの一定期間、どんなに優秀な転職者でも成果は出ないことになります。この一定期間は人や組織の状況によりさまざまですが、平均すれば、ほぼ半年と考えてよいのではないでしょうか。つまり、誰でも半年は目立った成果が出なくて当たり前ということなのです。

 そこで、最初の半年は苦しいものと考え、それを乗り切る対策を打っておくことが重要です。おすすめとしては、採用担当者にお願いして、社内のメンターを紹介してもらうという方法があります。メンターに、組織文化の特徴、組織力学のツボ、根回しのツボ、社内の人脈などを教えてもらうのです。

 さて、これまでの連載を振り返りますと、やはり個人にとって重要なことは明確な軸でした。そこで次週、最終回は、明確な軸の基礎となる「専門性」を伸ばすコツを考えてみたいと思います。 

 


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