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日本人が知らないリアル中国ビジネス 江口征男

中国全土配送のeコマース事業を垂直立ち上げ!
資生堂のこだわりを実現する縁の下の力持ち

江口征男 [智摩莱商務諮詞(上海)有限公司(GML上海)総経理]
【第68回】 2012年3月6日
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 「中国全都市配送のeコマースビジネス」。少し中国でビジネスを経験したことがある人なら、このビジネスがどれほど困難を伴うものか分かるだろう。日本のように都市と都市が密接しておらず配送に時間がかかる上に、ロジスティクス網も発展途上だから時間通りに届けることも難しい。資生堂はその前提に果敢に挑戦し、中国全都市配送のeコマースビジネスをスタートし、専用ブランド「ピュア マイルド ソワ」を立ち上げた。その裏側を前田大介・資生堂(中国)投資有限公司物流企画部部長と、小野聖太郎・北京外紅国際物流有限公司上海分公司(丸紅グループ)営業経理に聞いた。

配送方法の違いで
所要時間には2倍の差

二人三脚でビジネスを立ち上げた前田大介・資生堂(中国)投資有限公司物流企画部部長(左)と小野聖太郎・北京外紅国際物流有限公司上海分司営業経理(右)

――商品の配送体制はどのようになっていますか?

[前田] お客様自身に配送費用を負担していただく商品配送は宅急便で、弊社が配送費を負担するサンプル配送は郵便で行っています。中国全土への平均配送費用は、宅急便だと10元、郵便だと1元です。

 運営する上で一番気をつけなくてはならないのは、配送所要時間にばらつきがあることです。宅急便だと配送所要時間は省都であれば1週間以内、それ以外の町だと10日以内ですが、郵便の場合は下手をすると3週間もの時間がかかる上に、届いたか届いていないか分からないのが問題です。お客様から「サンプルが届いていない」という連絡を受けると、郵便は基本的に到着確認ができないので再送するしかありません。再送後すぐに元のサンプルが届くこともよくあります。郵便でも到着確認できる書留のようなものもありますが、確認するために更に2~3週間かかるのであまり実用的ではありません。この辺りの中国特有の事情も考慮して配送を行う必要があります。

――物流過程で中国では珍しい試みもやられたと聞きました。

[小野] 今回は、お客様が希望すれば商品と発票(領収書)を一緒に梱包して送るということもやっています。中国でもeコマースの場合、財務システムと連動して出力する必要のある発票(領収書)は、倉庫からではなく、財務部門からお客様に送るのが普通です。ただでさえ混沌とした物流倉庫で、財務の発票(領収書)を金額の間違いなく確実に商品に梱包するという作業は、日本にいる人には想像がつかないくらい大変な作業です。日本の領収書と違い、中国の発票(領収書)は修正や再発行が大変なので、なおさら間違いの許されない作業となっています。我々は今回のために開発したシステムで2重、3重にチェックするとともに、人的チェックも行うことで、正確性を担保しています。

――日本と比べて、中国の物流で大変なところはどのようなところですか?

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江口征男 [智摩莱商務諮詞(上海)有限公司(GML上海)総経理]

1970年、神奈川県横須賀市生まれ。横浜国立大学大学院工学研究科修了、Tuck School of Business at Dartmouth MBA。Booz & Company, Accentureなどの経営コンサルティング会社、子供服アパレル大手のナルミヤ・インターナショナルを経て、中国にて起業。上海外安伊企業管理諮詞有限公司(Y&E Consulting)、(株)MA PARTNERSの創業経営者でもある。
⇒GML上海ホームページ執筆者へのメール


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世界経済の牽引役として注目を浴びる中国に進出する日本企業は、後を絶たない。だが、両国の間に横たわる「ビジネスの壁」は想像以上に厚い。今や「世界一シビアな経済大国」となった中国で日本企業が成功するためのノウハウを、現地コンサルタントが徹底指南する。

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