田村正和デビュー直後の映画で考える障害者への配慮写真はイメージです

古今東西の映画を通じて、社会保障制度の根底にある考え方や、課題などを論じていく連載「映画を見れば社会保障が丸わかり!」。第7回は障害者福祉、特に聴覚障害者に注目した映画として、1965年公開の『この声なき叫び』、1961年公開の『名もなく貧しく美しく』を主に取り上げたいと思います。(ニッセイ基礎研究所准主任研究員 三原 岳)

障害者の法定雇用率が
0.2%引き上げへ

 第12回冬季パラリンピック平昌(ピョンチャン)大会が今週終わりました。障害者の活躍ぶりに感動した方も多いと思いますが、2018年4月から障害者雇用の制度が変わります。一定規模(従業員約46人)以上の会社については、全従業員の2.2%を障害者としなければならない義務が課されます。この比率を「法定雇用率」というのですが、2018年3月まで2.0%だったので、0.2%引き上げられるわけです。

 しかし、皆さんの会社に「障害者」と言われる人はどれぐらいいらっしゃるでしょうか。多くの会社では「特例子会社」という子会社を作り、そこで障害者を雇っているため、普段の職場では目にしないかもしれません。

 さらに、日常生活でも障害者に触れる機会が少なく、もし困っている障害者を駅や電車で見掛けたとしても、どうしていいのか分からない人が多いのではないでしょうか。