不動産を高値で売却する方法[2018年]
2018年4月11日公開(2018年4月11日更新)
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ザイ・オンライン編集部

"不動産の売却でかかる税金"を、安くする方法とは?
自宅、賃貸物件、相続した空き家…売却する不動産で
異なる控除などの節税方法や、税金の計算式を紹介!

不動産を売却したときにかかるおカネで大きいのは、やはり税金だろう。売却するまでの所有期間や売却の条件によって、使える節税の方法はさまざま。売ってから後悔しないためにも、基礎知識は押さえておこう。

マンションなどの不動産を売ったときにかかる税金とは?

 マンションをはじめ、不動産を売却して利益(売却益)が出ると、個人なら所得税と住民税がかかる

 所得税と住民税がかかる"所得"の区分は10種類あり、不動産の売却益については、「譲渡所得」という区分に分類される。

 ちなみに、所得税は基本的に、すべての所得を合計し、その合計金額に応じて税率が次第に高くなる「累進税率」で計算される。現在は5%(課税所得金額195万円以下の部分)から最高45%(同4000万円超)まで、7段階になっている。

 しかし、不動産の「譲渡所得」については、例外的に他の所得とは切り離して課税される。これを「分離課税」という。

 「分離課税」では、他の所得が多くても少なくても、不動産を売って得た利益が同じなら税額も同じになる。他の所得の多い人にとっては、有利な仕組みといえるだろう。

「自宅」であれば3000万円まで税金ゼロ

 不動産を売却した「譲渡所得」には、様々な特別控除がある。一定の条件を満たせば、不動産を売って得た利益からまとまった額を差し引くことができ、利益がその上限以下であれば税金がゼロになるのだ。

 最も代表的なのが、「居住用財産の3000万円控除」といわれるもの。自宅(マイホーム)として購入したマンションを売却した場合、最高3000万円までが売却益から差し引かれる。主な要件は次の通りだ。

◆「居住用財産の3000万円控除」を利用するための5つの主な要件
自分の住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること
※前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年目を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
売った年の前年及び前々年にこの特例の適用を受けていないこと
マイホームの買換えやマイホームの交換の特例、もしくは、マイホームの譲渡損失についての損益通算および繰越控除の特例の適用を受けていないこと
売った家屋や敷地について、"収用等の場合の特別控除"など他の特例の適用を受けていないこと
売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと(生計を一にする親族、家屋を売った後にその売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれる)

「居住用財産の3000万円控除」は、さほどハードルは高くないので、ほとんどの人が利用できる。しかも、売却益の3000万円まで課税されないというのはメリットが大きい。

 なお、売却益が3000万円を超える場合は、超えた部分について、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の区分に応じて一定の税率で所得税・住民税がかかる。

◆「譲渡所得」の税率
 長短区分 短期 長期
 所有期間  5年以下 5年超
 税率 39.63%
(所得税 30.63%、住民税 9%)
20.315%
(所得税 15.315%、住民税 5%)
 税率には復興特別所得税として所得税の2.1%相当が上乗せされている。

 ただし、土地建物それぞれの所有期間が10年を超えている自宅の売却であれば、「3000万円特別控除」と同時に、「長期譲渡所得」の約20%よりもさらに税率が低くなる「居住用財産の軽減税率の特例」も重複して利用できる

◆所有期間が10年超の自宅売却の税率
 課税長期譲渡所得金額(※) 税率
 6,000万円以下の部分 14.21%
(所得税 10.21%、住民税 4%)
 6,000万円超の部分  20.315%
(所得税 15.315%、住民税 5%)
 復興特別所得税を含む。※ 課税長期譲渡所得金額は、3000万円特別控除による3000万円を超えた部分

 また、気をつけたいのは、すぐに新居を購入して住宅ローン控除を受けるケース。基本的には「居住用財産の3000万円控除」と住宅ローン控除の両制度を併用することはできないのだが、住んでいた家をすぐに売却せず、3年後の1月1日から12月31日の間で売却した場合に限り、併用が可能。知識のある不動産会社社員なら、よく使っている方法だ。やや複雑であり、制度が変更になるリスクもあるので、税理士などに相談することをおすすめする。

「賃貸」に出していたなら、所有期間で税率が倍ほど違う

 一方、自宅としてではなく、投資用や節税目的でマンションを購入し、「賃貸」に出していた場合の売却にともなう税金はどうだろうか。

 この場合、「居住用財産の3000万円控除」が利用できず、売却益の全額に対し、「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の区分に応じて一定の税率で所得税・住民税がかかる。具体的には、売却した年の1月1日時点での所有期間が5年以下なら「短期譲渡所得」、5年超なら「長期譲渡所得」の2つに分けられる。

 賃貸物件の売却では、「居住用財産の3000万円控除」が利用できないため、この「購入から売却までの所有期間」が重要になる。なぜなら売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下か5年超過かで、税率が倍ほど違うからだ。前章の表を再掲する。

◆「譲渡所得」の税率
 長短区分 短期 長期
 所有期間  5年以下 5年超
 税率 39.63%
(所得税 30.63%、住民税 9%)
20.315%
(所得税 15.315%、住民税 5%)
※ 税率には復興特別所得税として所得税の2.1%相当が上乗せされている。

 「短期譲渡所得」には約39%(所得税30%・住民税率9%)、「長期譲渡所得」には約20%(所得税15%・住民税5%)の税率で税金がかかる(※2013年から2037年までは復興特別所得税として、所得税の2.1%相当が上乗せされている)。例えば、マンションを売却した利益が5000万円だとしたら、「短期譲渡所得」か「長期譲渡所得」かによって、手取りで1000万円近い差がついてしまう。

 そのため、賃貸用のマンションを売却するのは基本的に、「短期譲渡所得」ではなく「長期譲渡所得」になるのを待ってからのほうがいいだろう。

 ここで注意しなければならないのは、所有期間が5年以下か5年超過を判断する基準が、売却した年の1月1日時点だということ。

 たとえば、2013年2月1日に購入したマンションを2018年3月1日に売却した場合、実際の所有期間は5年を超えているが、2018年1月1日の時点では5年を超えていないので、「短期譲渡所得」となってしまう。この場合は、2019年1月以降まで待って売却すれば、「長期譲渡所得」となり有利だ。

「相続した空き家」にも、3000万円の控除あり

 また、「居住用財産の3000万円控除」とは別の特例として、平成28年度税制改正により「相続した空き家の3000万円控除が設けられた

 相続から3年目の年末までに、亡くなった人(被相続人)が住んでいた家を相続人が売った場合は、譲渡所得から3000万円を控除することが出来るのだ。

 ただし、いろいろと条件はつく。適用期間は2016年4月から2019年の12月末まで。マンションなど区分所有の建物は対象外で、昭和56年5月31日以前に建築された建物であること、相続前は被相続人が一人で暮らしていて同居人がいなかったこと、などが前提だ。

 特に注意しなければならないのは、昭和56年5月31日以前に建築された建物であること、という点だ。昭和56年5月31日以前に建築された建物は基本的に、現在の耐震基準(新耐震基準)を満たしていないが、売却にあたっては耐震リフォームを行い、新耐震基準を満たすことが必要だ。これには数百万円かかることも少なくない。あるいは、建物を取り壊し、更地にして売却してもよいが、やはり建物の取り壊しに100万円以上かかることが多い。

 そのほか、譲渡価格は1億円以下、生計を一にしている親族への譲渡はダメといった条件もつく。

 このように「居住用財産の3000万円控除」に比べるとハードルは高いが、田舎で一人暮らしをしていた親がなくなって、相続した古い空き家を処分するといった場合には、活用を検討すべき控除制度だろう。

売却したお金にかかる税金の計算方法

 ここからは、不動産の譲渡所得の計算方法を確認しておこう。

・譲渡所得 = 譲渡収入-(取得費 + 譲渡費用)

 上の式の「譲渡収入」というのは、不動産を売却して得た収入のことで、基本的には売却価格である。マンションを5000万円で売れば、譲渡収入は基本的に5000万円だ。

 「取得費」とは、その不動産を購入したときの費用のこと。

「取得費」を算出する際の注意点

 「取得費」の計算で注意しなければならないのは、土地と建物に分けて計算することだ。戸建てはイメージしやすいが、マンションでもふつう、土地(共有持ち分)と建物を合わせた合計の金額で購入するように、その金額に占める土地分と建物分を分けて計算しなければならない。土地の取得費については、購入したときの金額(簿価)のままだ。一方、建物の取得費については、購入したときの金額(簿価)から「減価償却費」を差し引く必要がある

・土地の取得費 = 購入した時の金額(簿価)

・建物の取得費 = 購入した時の金額(簿価)-売却時までに経費計上した減価償却費

 「減価償却費」とは、建物や機械設備など長期間にわたって使う資産を購入した場合、その購入価額を資産の耐用年数(鉄筋コンクリート造のマンションは47年)に応じて、少しずつ経費として計上するものだ。

 マンションを賃貸に出していれば、毎年の賃料収入が「不動産所得」となり、確定申告の計算において、賃料収入から差し引く経費に減価償却費も含まれる。つまり、減価償却費としてすでに経費計上した分は、売却時の取得費からは除かれるのだ。

 そのため、マンションを購入してから年数が経つほど、減価償却費の分だけ建物の取得費が下がり、譲渡所得が増えることになる。

 マンションで土地の取得費と建物の取得費がどれくらいの割合かは、原則として購入時に決まっている。新築マンションであれば、売主の不動産会社に確認すればわかる。

 なお、自宅としていたマンションについても、譲渡所得の計算にあたって建物の取得費については減価償却費を除くことになっているが、その額は賃貸していたケースより少ない(耐用年数を1.5倍で計算するため)。また、前述のように「居住用財産の3000万円の特別控除」のメリットが大きいため、さほど気にすることはないだろう。

経費として差し引けるものは、すべて忘れずに計上しよう

・譲渡所得 = 譲渡収入-(取得費 + 譲渡費用

 不動産の譲渡所得の計算式を構成する最後の要素、「譲渡費用」とは、不動産を売却する際にかかった、さまざまな経費のことだ。具体的には下記のようなものがある。

◆譲渡所得の計算における6つの主な「譲渡費用」
土地や建物を売るために支払った仲介手数料
印紙税で売主が負担したもの
貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料
土地などを売るために、その上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額
既に売買契約を締結している資産を、さらに有利な条件で売るために支払った違約金
借地権を売るときに、地主の承諾をもらうために支払った名義書換料

 こうした経費をもれなく計上することも、不動産を売却するときの税金を抑えることにつながる。

「自宅の売却」は控除が大きいが、他のケースは条件に注意

 以上、不動産を売却したときにかかる税金について見てきた。

 自宅の売却については「居住用財産の3000万円控除」があるため、税金はほとんどかからず、かかっても所有が10年超なら軽減税率が適用されるので、負担は重くない。

 一方で、賃貸に出していた不動産は、所有期間が5年超かどうかで税率が倍ほど違ってくるので、売却のタイミングに気をつけたい。

 また、相続した空き家の売却は、戸建てなら3000万円の控除を利用できる場合があるので、ぜひ要件をチェックして、賢く売却しよう。

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