リサーチの機会を増やし
ニーズに応えるビジネスを展開

 Fastaskの利用ユーザー層として同社がまず想定するのは、リサーチの必要性を感じていながらも、費用とそれにかける時間の問題から実施の機会が限られていた企業や担当者だ。

 たとえば、50万円の費用をかけて年1回行っていたネットリサーチも、Fastaskなら10問500サンプルで10回実施することができる。さまざまな場面でネットリサーチを活用することで、より消費者の声を反映した商品の企画・開発、サービスの改善、広報活動などが可能となる。

 サービス開始時にもっとも反響が大きかったのは、マーケティング業務を受託している”調査のプロ”だったという。なかでも、大手リサーチ会社のように自社でモニタを抱えていない中小の事業者にとっては、Fastaskのリーズナブルな価格と自由度の高さは、機動的な提案をする上で大きな武器となる。

 プロが注目するポイントは、Fastaskの抱えるモニタの質の高さだ。ネットリサーチにおいて「質」の確保を重要課題と位置づけた同社は、大手リサーチ会社と同様の手法でモニタを公募するなどして、2012年2月末時点で約70万人を確保している。

 質の高さの精度を高めるために、登録モニタの回答結果を月数回の頻度でチェックするシステムも導入している。「不良回答が続いているモニタの元へは、以降のアンケート依頼が届かない仕組みになっています」(石川氏)。

クラウド型サービスの利便性を生かし、
角度を変えた調査にも柔軟に対応可能

石川英輝・ジャストシステム事業企画部シニアマネージャ

 すでにFastaskを利用しているユーザーに評価されている点として、すべてがクラウドで完結するサービスであることがあげられる。一度登録すれば必要なときログインしてアンケートを作成・配信できるうえ、リサーチの途中経過をリアルタイムに確認することもできる。

 また、過去にアンケートに回答したモニタを対象とした再調査も可能だ。たとえば、スマートフォンを利用しているユーザーを対象にリサーチを行ったものの、思ったような回答が得られず「スマホを利用していないモニタにも、その理由を聞いてみたい」と考えたとしよう。

 クラウド上にある過去データから、モニタを自分で簡単に抽出できるので、以前に実施したスマホの有無を問うスクリーニング調査で「いいえ」と答えたモニタに絞って、スピーディに再調査を実施できるという具合だ。

「『もうちょっと調べたい』『別の仮説からのアプローチを図りたい』といったときでも、費用や時間の負荷を抑えることができるので、リサーチを繰り返しながら、一歩ずつ正しい答えに向かっていくことができるわけです」(石川氏)

 Fastaskはスタートして半年だが、「今後ますます進化する」と石川氏。一太郎やATOKなどで培ってきたジャストシステムならではの強みである“日本語解析技術”を使った機能強化もその1つだ。

「アンケートの自由回答に書きこまれた文章を、テキストマイニング技術で自動的に分析・数値化するものです。より利便性の高いネットリサーチの実現は、そう遠くないと確信しています」(石川氏)

「『すべてのビジネスに裏付けを』というのが、Fastaskのコンセプトです。Fastaskの機能や利便性が向上することで、中小企業はもとより、ビジネスパーソンの一人ひとりが抱える問題を解決できるサービスにしたい。社内外を問わず、企画提案には必ずアップデートな裏付けとしてネットリサーチ結果を添える、そんな動きが、今後出てくるかもしれません」(石川氏)