間接費の最適化と
不正・異常値の検知

 コスト削減は経営の大きなテーマだが、日本企業で長く見過ごされていた分野がある。それが間接費であると、コンカー社長の三村真宗氏は指摘する。

コンカー
代表取締役社長
三村真宗氏

「直接費についてはかなり最適化が進んでいます。一方の間接費はさまざまな部門の一般社員が関わることもあり、多くの企業で古いプロセスが残されています。1件当たりの金額は小さくても、まとめると大きい。大きな改善余地があります」

 コンカーは間接費の最適化に向けたクラウドサービスを提供している。対象は主として従業員経費、ベンダー経費、出張費の3分野。同社のサービスにより申請者、承認者、経理ともに大きな工数の削減が可能だという。

 コンカーを使えばスマホを使って申請しスマホで承認、そのまま経理プロセスに載せることもできる。働き方改革においても、ムダな業務の排除は最重要課題だ。「経費精算のような業務こそ、できる限り自動化・効率化して社員の負荷を低減する必要があります」と三村氏は強調する。

 企業にとってはリスクへの備えも大きなテーマだ。SAPはGRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)ソリューションを強化している。SAPジャパンの関口善昭氏は、多様化するリスクへの注意を喚起する。

SAPジャパン
CFOソリューション推進室
専任部長(公認内部監査人)
関口善昭氏

「一般的な企業では、売上高の5%が不正のために消失しているという推計もあります。例えば、不正会計や取引先への過大な支払い・キックバック、賄賂など。不正をいかに早期に検知するか、不正が起きないような仕組みをつくるか。その重要性はますます高まっています」と関口氏は訴える。

 この分野の代表的なソリューションが「SAP Business Integrity Screening」。あらかじめ定義した不正取引のパターンに基づき、膨大な取引データの中から不正の兆候を検知しアラートを通知する。リアルタイム突合により、怪しい取引をブロックすることも可能だ。もう一つが、問題のある取引先を検知する機能を備えた「SAP Business Partner Screening」である。いずれも機械学習などを使ってルールを進化させ、より精度を高めることができる。