今だから見えてきた「働き方改革」の課題

働き方改革、第2章「生産性革命」

そもそも、「なぜ働き方を変えるのか」

内田洋行
平山信彦 執行役員
知的生産性研究所所長

千葉大学工学部卒。内田洋行スペースデザイン室、INTERNI(米ロサンゼルス)、内田洋行環境デザイン研究所、千葉大学大学院非常勤講師などを経て2008年より現職。日本テレワーク学会理事

 企業の働き方の変革や生産性向上をサポートしている内田洋行知的生産性研究所所長の平山信彦氏は「働き方改革が“バズワード”になってしまった結果、経営者自身もよくわからなくなってしまったのが今の状況ではないでしょうか」と見る。

「経営者は無批判に働き方改革というトレンドを受け入れているように思えます。ただ、今、挙がっている議論は間違っているわけではない。時短も、在宅勤務制度を整えることも、ITを導入して効率化することも必要。しかし、重要なのは『なぜ働き方を変えるのか』『働き方を変えてどんな成果や効果を狙うのか』をしっかり考えること。これは大企業でも中小企業でも、同じことが言えます。そこが漠然としていると、働き方改革の成功はおぼつかないのです」

 このとき、2つのポイントが挙げられるという。

「まず一つは、経営者目線で考えること。厳しい経済環境で企業間の競争は激しくなっているなかで“経営者のハピネス”とは何なのか。どういう効果を期待して働き方を変えようとしているのかを明確にしておく必要があります。二つ目は、社員の目線で考えること。働き方を変えてよかったと思えるような“社員のハピネス”とは何なのか。たとえ、社員の作業効率が上がってスピードアップしたとしても、社員自身が『ああ、よかった』と思わない限り、その変革は長続きしないのです」

 何のために変えるのかを決めたら、次に「どういう姿になりたいのか」という目標値を決める。「3年後、5年後にはどういう姿になっていたいのかをリアルに描く。ゴールのイメージがないと、本当にそこに向かって進んでいるのかがわからなくなります」

 こうした点をしっかり押さえて、働き方改革に取り組めている企業はどれくらいあるだろうか。

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