リーダーシップ能力と睡眠には相関があることが、研究で示されている。そして上級のリーダーほど、十分かつ良質な睡眠を取るようみずからを律しているという。本記事では睡眠改善の5つの方法を紹介する。


 大勢の人々が睡眠不足で悩んでいることは、周知の事実だ。

 16~64歳で、1日に7~9時間の睡眠を取っていない人は、論理的推論力、実行機能、注意力、気分が損なわれているおそれがある。なお悪いことに、著しい睡眠不足はうつ病、不安感、妄想の症状を引き起こしかねない。長期的に見ると、寝不足は認知症とアルツハイマー病を発症する主たる要因にもなる。

 驚くべきことに、経営幹部は、こうした警告に注意を払う必要のないグループに属する。我々が3万5000人ものリーダーを調査し、250人あまりにインタビューした結果、上級職の人ほど、睡眠をたくさん取っていることが判明したのだ。

 これには、2通りの説明ができる。

 まず、上級幹部はアシスタントと勤勉な中間管理職のおかげで、仕事が減り、多くの睡眠時間を確保しているのかもしれない。あるいは、彼らはキャリアを通じて、十分な睡眠を取るという知恵と規律を実践してきたため、燃え尽き症候群に陥らずに、優れたパフォーマンスを維持してきたのかもしれない。

 我々は、後者の説明が正しいという結論に至った。カールスバーグ・グループの社長兼CEOであるセースト・ハートは、次のように語ってくれた。「睡眠は常に、自分のパフォーマンスの基盤となっている。特に、私の現在の役割に求められる働きをするには、毎晩7時間の睡眠が必要だよ。もちろん出張も仕事量も多いから、時には時間を確保できないこともあるけど、その場合には代償を払うことになる。睡眠時間が少ないと、パフォーマンスが落ちるんだ」

 一方、我々のデータでは、上級職ではないリーダーの68%は1日に5~7時間しか寝ていない。日中の時間が足りないと、夜の時間を使うからだ。彼らの多くは夜遅くまで、メールの処理やその他の業務を片づけている。我々の調査によると、これは性別にかかわらず一般的な傾向だ。

 これは問題である。リーダーにとって睡眠は、ぜいたくではない。研究によれば、十分な睡眠と効果的なリーダーシップとの間には直接的な相関があり、睡眠不足のリーダーは、チームを惹きつけて鼓舞する魅力に欠けることがわかっている。

 寝ていない自慢が名誉の証とされた時代もあった。だが意欲的なリーダーは、我々の調査結果を踏まえ、睡眠が何よりも大事であることに気づくべきである。

 優秀なリーダーになって昇進したければ、十分な睡眠を取ろう――これが我々の伝えたいメッセージだ。

 もちろん、毎日早く寝ようと決意することと、実際に7時間以上の質の高い睡眠を取ることは別物である。多くのリーダーにとって、早寝は問題の一端にすぎない。もう1つの問題は、良質で体力を回復できる睡眠を取ることだ。

 幸いにも、質の高い睡眠は偶然の産物ではなく、訓練可能なスキルである。有益な方法を下記にいくつか挙げよう。