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吉田恒のデータが語る為替の法則

ドル高・円安の本格化は「異常な米金利
低下」の修正がカギ。外堀は埋められた!

吉田 恒
【第198回】 2012年3月14日
著者・コラム紹介バックナンバー

 今回(3月13日)のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、「QE3(量的緩和策第3弾)」の可能性が後退したと、再確認されるのではないでしょうか?

 一般的に、「QE3」に象徴されるFRB(米連邦準備制度理事会)の「超金融緩和」は、株高と「異常な金利低下」をもたらした可能性が高いと考えられています。

 それならば、「QE3なし」から始まる「異常な金利低下」の修正は、米ドル高・円安が進行するための重要なカギを握っていると思います。

「QE」は、米景気不安が
再燃する中での「切り札」だった

 前回、1月に行われたFOMCでは、現行の実質ゼロ金利政策を2014年末まで続ける方針が発表されるとともに、「QE3」の可能性など、追加緩和を行うことも示唆されました。

 この1月のFOMCの時点で、NYダウはすでに、昨年10月初めの安値から約2割も上昇していました。それにも関わらず、それまで「2013年半ばまで」としていた実質ゼロ金利の時間軸を大幅に延長し、さらに「QE3」も示唆して、緩和姿勢を一段と強化したのです。

 このことについて、マーケットでは、雇用情勢は「完全回復にはほど遠い」状況が続いているといった認識を受けた判断との理解が基本です。

 この「完全回復にはほど遠い」といった認識が、前回会合から1ヵ月半程度で「ひょう変」するとは考えにくいでしょう。

 しかし、2月29日(水)と3月1日(木)に行われたバーナンキFRB議長の議会証言から、「QE3」をはじめとする追加緩和姿勢の実施方針は後退したとの見方が強まっています。

資料1

 これは、ある意味では当然でしょう。上の「資料1」をご覧ください。昨年までに行われた追加緩和、2010年の「QE2(量的緩和策第2弾)」や2011年の「ツイストオペ」は、NYダウが高値から15%前後も反落していた中で決定したものでした。

 要するに、「QE」という政策は、米国で景気不安が再燃する中での「切り札」だったわけです。

失業率の改善で、
非伝統的金融緩和はほぼ不要に

 これに対して、最近のNYダウは高値更新が続いており、足元では1万3000ドル近辺で推移しています。

 したがって、前述のように、「切り札」的に「QE」が行われていたと考えるならば、NYダウが1万1000ドルに迫るまで反落してきた時に、「QE3」は現実味を帯びてくるでしょう。

 最近のような株高の状況下でも「QE3」の実施を決断するなら、それは異例なことであり、簡単ではないと思います。

 そもそも、雇用情勢こそ「完全回復にはほど遠い」状況であるものの、「QE」のような非伝統的金融緩和を正当化する状況は変わりつつあるのではないでしょうか?

 「資料2」は、米国の政策金利である「FF(フェデラル・ファンド)レート」と修正失業率(失業率-10年平均)の関係を見たものですが、このところの失業率の改善で、非伝統的金融緩和はほぼ不要になりつつあると言えそうです。

資料2

 以上のように見てくると、現地時間3月13日(火)のFOMCでは、先のバーナンキFRB議長の議会証言と同様に、追加緩和や「QE3」の可能性は後退するのではないでしょうか?

超金融緩和は株よりも
金利のほうが影響を大きく受けた

 もし、米国の追加緩和の可能性が後退するならば、マーケットへの影響はどうなるのでしょうか?

 最近の株高は、世界的な金融緩和を受けた過剰流動性相場の結果であるとの見方が多いようですが、そうであれば、「QE3」の可能性が後退すると、株価は反落してしまうのでしょうか?

資料3

 「資料3」は、代表的な景気指標であるISM製造業景況指数とNYダウを重ねたものです。これを見ると、ここ数年間のNYダウの動きは、おおむね米国の景気で説明できそうです。

 細かく見ると、足元の13000ドルまでのNYダウの上昇は、景気で説明できる範囲を超えた株高である可能性はあるものの、あくまで、それは誤差の範囲内ではないでしょうか?

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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