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転職のオモテとウラ

転職が当たり前の時代だからこそ言いたい!
「転職しない」ことに大きな価値がある理由

鎌田和彦 [アート・クラフト・サイエンス株式会社 代表取締役会長]
【第6回・最終回】 2012年3月14日
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 まず、世の中に流されないこと。

 周囲が転職を当たり前と思っているなら転職しないという信念があっていい――。

 これまで5回にわたって掲載してきた本稿ですが、いよいよ今回にて最終回となります。

 産業構造、組織運営形態、人口構成の変化など複合的な要素から到来した人材流動化時代。それを後押しする人材紹介事業は過去15年間にわたって大きく発展を遂げてきました。

 その業に携わってきた者として、人材流動化時代が作りだした矛盾を指摘することを目的としてきましたが、まったくもって十分とは言えそうにありません。少なくとも、転職にはらむリスクの高さ、そのリスクを少しでも回避する方法をお伝えしたいと考えてきましたが、それすら満足いくレベルではありません。

 既にお伝えしてきたように、リーマンショック以降、回復を見せてきた各企業の求人意欲は、昨年の震災による一時的な影響はあったものの、現在では安定着実なレベルに達しています。そうした中、まさに「転職ブーム」と呼ぶにふさわしい状態に近付きつつあると認識しています。

 おそらく、皆さんの周囲を見渡せば、転職経験者ばかりかもしれません。それだけ転職が当たり前になっている時代です。そこで、考えて頂きたいのは、まず自分自身をどのように際立たせていくかということ。転職が当たり前の時代だから自分も転職しようというような短絡的な考え方ではなく、むしろ、その逆に、これだけ転職することが当たり前の時代なら、転職しないことが価値になるかもしれないという発想です。

 「逆張り」という言葉がありますが、転職が当たり前の時代だからこそ、私は転職をしないことが価値になると見ています。不確実な時代だからこそ、みんなと同じことをやってもリスクは軽減されず、むしろ増大するのではないでしょうか。こうした時代だからこそ、転職というオプションを完全に捨てて仕事に集中するべきかもしれません。

ないものねだりはしない
自分が過去にした意志決定を尊重する

 私見ですが、転職活動は100%現状への不満から出発します。まず、そうした不満の原因がいかなるものなのかを特定すべきでしょう。もしそれが、単なる「ないものねだり」なら転職に向かうことは大変に危険です。「もっと考える仕事がしたい」「戦略的な取り組みをやってみたい」そんな転職理由を星の数ほど見てきました。しかし、現在の仕事で考えることができていない人材が、転職する(仕事を変える)ことで考えられるようになるのでしょうか?

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鎌田和彦 [アート・クラフト・サイエンス株式会社 代表取締役会長]

1965年神奈川県生まれ。88年慶應義塾大学文学部卒。89年(株)インテリジェンスを設立、取締役に。99年に同社代表取締役社長、2008年同社相談役。08年には日本人材派遣協会会長も務める。現在は、不動産投資会社アート・クラフト・サイエンス(株)の代表取締役会長。


転職のオモテとウラ

転職がブームと化していた2000年代半ば、意気揚々と転職していく若者が後を絶たなかった。しかし、彼らの多くが転職によって人生が好転したわけではない。社会人の2人に1人が転職するという「大転職時代」が到来した今なお、なぜ転職はうまくいかないのか。人材紹介事業を展開するインテリジェンスの元代表取締役社長であり、「転職のオモテとウラ」を誰よりも知る鎌田和彦氏が、転職市場が再び活況を迎える今、世の中に溢れる不幸な転職をなくすための処方箋を提案する。

「転職のオモテとウラ」

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