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今週の音盤=心のビタミン ビジネス・パーソンのための音楽案内

【キース・ジャレット「ケルン・コンサート」】
即興演奏の無限の可能性を示し
偉大な音楽家へと脱皮する瞬間を刻む

小栗勘太郎 [音楽愛好家]
【第24回】 2012年3月15日
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 世の中には、大成功を収めた人がいます。

 芸術であれ、ビジネスであれ、学問であれ、スポーツであれ、それぞれの道で奥義を極めた人たちです。もちろん、成功に胡坐をかくことなく、人知れず、研鑽を積むことは当然です。

 彼らは、成功者として、忙しくも充実した日々を過ごします。が、それでも、自らの軌跡を振り返る時、成功への起点となった瞬間は、忘れ難いものでしょう。それは、甘酸っぱく希望の匂いがして、不安と自信が交錯する蒼い時間だったはずです。

 例えば、2012年1月29日、全豪オープン・テニスの男子シングルス決勝。テニス史に残る激闘5時間53分を制したのはノバク・ジョコビッチです。この時までに、既にグランドスラム4勝をしているジョコビッチですが、インタヴューに対しこう応えました。

 「毎日つらい練習をし、人生をテニスという競技に捧げるのは、このような試合……グランドスラムで6時間の決勝を戦う日のためなんだ」。この日(2012年1月29日)は、ジョコビッチにとって、特別だったのです。この日の勝利の女神の微笑みは、生涯、記憶されるに違いありません。

 自分が選んだ道で、見果てぬ夢を追い求め、富と名声を得ることが出来れば、そんな嬉しいことはありません。どんな成功にも、その起点となる特別な瞬間があります。そこに至る道は決して平坦ではなかったはずですし、そこには、それまでの均衡を破り、異次元に導く何かが潜んでいるのです。

 と、いう訳で、今週の音盤は、キース・ジャレット「ケルン・コンサート」(1975年・写真)です。

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小栗勘太郎 [音楽愛好家]

1958年生まれ、牡羊座のB型。某国立大学卒、米国滞在5年。公僕を生業とする音楽愛好家。著書は『音楽ダイアリーsideA』 『同sideB』(西日本新聞社)。『毎日フォーラム』誌にて「歴史の中の音楽」を連載中。


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ビジネス・パーソンは日夜、現場で闘って、日々、喜怒哀楽を感じる。実は音楽の現場も同じだ。だって、音楽もビジネスも、所詮、生身の人間が作る、極めて人間くさい営みだから。音楽には妙な薀蓄など不要かもしれないが、音楽が生まれる時には物語がある。それを知って聴けば、喜びが倍になり、悲しみが半分になるかもしれない。毎週1枚、心のビタミンになるような音盤を綴ります。

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