不用意な発言に「ホウレンソウ」欠如
障害者へのアレルギーや誤解も

 雇用に意欲的な企業も多くなってきた一方で、精神障害者に対するアレルギー反応や、「できることが少ない人たち」という誤解も依然として多いのが現実だ。定着支援や実習の有無によって定着率が変わってくる。きちんと定着支援を受けたり、実習を踏まえて採用したりすること自体がミスマッチを防ぐアプローチになると、服部さんは指摘する。

「特に発達障害の場合、ちょっとした工夫をすれば、上手く仕事が回るケースが結構あるんです たとえば人間関係の場合は、周りの人たちに障害特性をしっかり知っていただくことで不要なトラブルを防げるんです」

 実際、思ったことをストレートに言ってしまう人であることを予め知っていれば、空気が読めないことを言われても、そこまで腹は立たない。雑談が苦手な人の場合、1人で昼食をとるのが好きだったり、女子会のような輪の中に入りたくなかったりするのに声をかけてしまうことが、かえってストレスになるといった具合だ。

 業務遂行面でも、資料を書き写す際、前後の行が目に入ってしまって、文字を混ぜて書いてしまう人がいれば、前後の行をずらすなどの工夫をすればスムーズに作業できる。

 引きこもっていた20代半ばの男性は、学校を中退後、もともと社会経験がなかったものの、少しずつ外に出て来れるようになった。ところが、コミュニケーションをとることが苦痛で、「ホウレンソウ」(報告・連絡・相談)がまったくできなかった。一方で、作業やパソコンの訓練をすると、とてもスキルが高い。

 就職を考えると、ホウレンソウができないのは致命的だ。そこで、「ホウレンソウ・フォーマット」のようなものをつくり、1時間ごとに指示を受けてやったこと、そのとき迷ったこと、その結果判断したことをフォーマット化して提出する練習をした。すると企業から「実務実習の中で、まったく問題なく仕事ができた」という報告を受けた。
「ホウレンソウができないと働けないと思って一生懸命訓練していたんですが、特性を上手くカバーして活かすためにツールを1つ立てたことで、課題がすんなり解決できたのです」。