先週の総括

 先週の日経平均株価は週末にかけて下落した。前週モノライン(金融保証会社)の救済を巡って、週明けにも対策が発表されるとの見方から米国株式が大幅に上昇した。この流れを受けて、13600円台のスタートとなった。週央にはバーナンキFRB議長が追加利下げを示唆したことを好感し、1月15日以来の1万4000円台を回復した。ただその後は先週末から600円以上も上昇したこともあり、戻り売りに押される展開。週末は1月の鉱工業生産指数速報値が市場予想を下回ったことを嫌気して下落。結局先週末日0.8%高い13603円で取引を終えた。

 規模別には大型株が下落したものの、中小型株は堅調。マザーズ指数も先週末比上昇した。業種別には保険・その他金融など金融株が物色された。一方で海運・輸送用機器・鉄鋼などが下落した。

今週の予報

ジェネリック医薬品業界:
政策の後押しをうけ「晴」

晴

 今週の日経平均株価は引き続き揉み合いの展開を予想する。週末に重要な経済指標である雇用統計を控えているため、売買代金も減少しそうだ。第3四半期の業績発表がほぼ終わったが、業績下方修正をした銘柄が目立ち、強烈な売りを浴びている。また米国の経済指標にも弱含みの数字が目立つ。金融緩和効果が表れるまでには時間がかかりそうで、それまでは上値を追うことは難しそうだ。

 ジェネリック医薬品業界(東和薬品・沢井製薬・日医工)の株価が堅調だ。サブプライムローンに端を発する世界経済の混乱により各国の株式市場は大幅な下げを余儀なくされているが、例えば(4541)日医工の株価は2007年初めの1600円台から2月29日の2760円まで70%以上も上昇している。今年も医療費削減という国家的政策の後押しを受けて株価は上昇トレンドを辿るであろう。

 日本の医療費は現在年間31兆円程度であるが、そのうち薬剤費が30%ほどを占めており、国際比較では断トツに高い数字だ。政府は医療費膨張に歯止めをかける切り札として、安価なジェネリック医薬品の普及を後押ししているが、ペースは遅い。日本のジェネリック医薬品の数量シェアは推定で20%を割っており、一方で諸外国は30%以上に達している。日本のジェネリック医薬品のシェアが低い理由は、日本医師会の頑強な抵抗と、薬価基準制度の存在が原因と言われている。薬価を市場の自由競争に任せている米国と比較し、日本のジェネリック医薬品価格は割高感が否めないからだ。しかし今回は政策的な後押しが大きく、ジェネリック医薬品の普及に弾みがつくだろう。

 具体的には、処方箋様式の変更と、調剤薬局へのインセンティブ付与、及びDPC制度(1日当たり疾患別定額払い)対象病院の拡大である。処方箋様式の変更とは、医師が反対の署名をしなければ原則ジェネリック医薬品への切り替え可能となることだ。また調剤薬局へのインセンティブ付与とは、調剤率が30%を上回る薬局に対してインセンティブが導入されるものである。DPC制度対象病院の拡大は、DPC制度が適用になると診療報酬が定額になるため、コスト抑制のためジェネリック医薬品が採用されやすい。

 調剤薬局へのインセンティブ付与は、市場の予想を下回るインセンティブ率に決定されたようで失望感もあるが、DPC制度対象病院拡大は大きな好材料だ。(4541)日医工は病院向けの売上げ比率が高く注目している。

今回のポイント(まとめ)

 ジェネリック医薬品業界の株価は堅調な動きだ。これまで普及は遅々として進まなかったが、DPC制度対象病院の拡大など、ジェネリック医薬品使用拡大へ向けて政策的な後押しが出始めている。病院向け売上げ比率が高い日医工に注目している。