経営×ソーシャル
ソーシャルメディア進化論2016
【第1回】 2012年3月27日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役]

【佐々木俊尚氏×武田隆氏対談】
2012年、ソーシャルメディアに「何」が起こっているのか?(前編)

twitterやfacebookを企業活動に導入する動きは加速するものの、当初期待した成果は得られず、ソーシャルメディア・マーケティングに活路を求めていた多くの企業は、今や方向性を見失いつつある。この現状を2011年の時点ですでに予見していた本があった。『ソーシャルメディア進化論』(小社刊)だ。
本連載では、同書の著者であり、ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)を誇るエイベック研究所 代表取締役の武田隆氏が、ソーシャルメディアの実態と展望を描きつつ、ソーシャルメディア活用の“最後の砦”と言われる「企業コミュニティ」について、各界の最前線で活躍するキーパーソンとの対談を交えて解説していく。
記念すべき第1回は、IT分野に精通し今もっとも注目を集めるジャーナリストのひとり、佐々木俊尚氏を迎える。ソーシャルメディアに何が起こっているのか、現状の利用のされ方にはどこに問題があるのかをおおいに語り合っていただいた。

フェイスブックは、個人のメディア

武田:上場の話題もあったりして、フェイスブックがますます持ち上げられているみたいですね。

佐々木:みんな、すぐに持ち上げますからね。

武田:おそらく来期予算で4月から、フェイスブックページを作る企業がばーっと出てくると見ています。一方、先行して実施している企業からは、「フェイスブックページで消費者とつながるのは難しい」と判断するのに2ヵ月もかからないという声も挙がっています。例外的な企業を除いて、多くの企業がそのような状況のようです。

 まず、「いいね!」が集まらない。集まったとしても、そこから先につながらない。大手コンビニチェーンで25万いいね!が集まって、こんなにファンが多いんだから何かやれば反響があるだろうというので、ある飲料の5万人プレゼントというキャンペーンをやったんだそうです。応募者数がリアルタイムでわかるカウンターまで作って準備した。でも、2週間たっても応募総数が2万くらいまでしかいきませんでした。

佐々木俊尚(ささき・としなお)
作家・ジャーナリスト。
1961年兵庫県生まれ。愛知県立岡崎高校卒、早稲田大政経学部政治学科中退。毎日新聞社、月刊アスキー編集部を経て2003年に独立し、IT・メディア分野を中心に取材・執筆している。「『当事者』の時代」(光文社新書)「キュレーションの時代」(ちくま新書)「電子書籍の衝撃」(ディスカヴァー21)など著書多数。
総務省情報通信審議会新事業創出戦略委員会委員、情報通信白書編集委員。

佐々木:それは、フェイスブックのようなソーシャルメディアをどうとらえるかという基本概念を間違えている。最近の取材を通じて見えてきたのは、結局フェイスブックやツイッターというのは個人のメディアだということ。

武田:本当にそうです。フェイスブックは、個人による個人が輝くメディアですね。

佐々木 :それは前から言われてきたことでもあって、なぜツイッターでNHK_PRや加ト吉(現・テーブルマーク株式会社)の人気が出たかというと、公式アカウントではなく、キャラクター性を持たせて一個人にやらせたから。

 ツイッターは個人と個人がつながる、情報が流通する基盤、あるいはキュレーション的なやりとりが行われる基盤であって、消費者が企業からの情報を受けとる場ではないんです。

武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役]

日本大学芸術学部にてメディア美学者武邑光裕氏に師事。1996年、学生ベンチャーとして起業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。花王、カゴメ、ベネッセなど業界トップの会社から評価を得て、累計300社のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア (矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリン支局、大阪支局開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、第6刷のロングセラーに。JFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」の司会進行役を務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


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