米中貿易摩擦の行方とは?

 皆さん、こんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。

 さて、このところ株式市場では、米中の貿易摩擦の激化を巡る材料に踊らされ、一喜一憂する展開が続いています。

 トランプ米大統領が通商法301条(外国による「不公正な貿易慣行」に対し、大統領の判断で一方的に関税引き上げなどの制裁措置が取れるもの)を発動して以降、中国がこれに対抗措置を取るなど、報復合戦が繰り返されています。これを受けて世界の株式市場は、米中の貿易摩擦の激化による世界貿易の縮小と景気悪化を警戒し、軟調な展開となりました。米中の貿易摩擦激化への懸念の強まりと懸念の後退で、株式市場は上下に振れ幅の大きい動きとなっています。

 こうしたなか、来週4月17日には、当事者の一方である中国の主要な経済指標が公表されます。そこで今回は、発言力を増す中国の景気動向を読み解きつつ、今後の「米中貿易摩擦」の行方を探りたいと思います。

中国の1-3月期GDP成長率は前年並みと予想
堅調な背景に、IT関連など高付加価値産業への移行

 中国国家統計局は4月17日に、主要経済指標の「1-3月期GDP」「3月の固定資産投資」「3月の鉱工業生産」「3月の小売売上高」を発表します。今年に入り、中国の主要経済指標は予想を上回るものが多くみられましたが、世界的に株式市場が調整しているなか、3月の経済指標がどのようになるかが注目されます。

 中国の2017年の実質GDP成長率は前年比+6.9%となり、政府目標の「+6.5%前後」を上回るとともに、7年ぶりに前年(同+6.7%)を上回りました。中国の経済成長率については、2017年初めの市場予想が同+6.5%でした(ブルームバーグ調べ)から、2017年実績の同+6.9%成長は予想を+0.4%上回ったことになり、このことからも中国経済の好調ぶりがうかがえます。

 GDPを需要面でみると、底堅い消費や投資の内需に加えて、世界景気の好調を受けた外需の貢献もGDPを押し上げる要因となっています。輸出が上振れた影響から、純輸出の寄与度は+0.6%ポイントと、2016年の▲0.7%ポイントからプラス転換したことが大きく寄与しました。