前回はアフリカ市場での起業家たちの夜明けについてご紹介した。今回はさらにBOP市場の開拓において、欠かせないキーワードとなる「起業家精神(アントレプレナーシップ)」について検討する。BOPビジネスの現場で、一人の農民や力なき女性を起業家へと変え、雇用創出するためにどのような苦労がなされているか。そこには4つのポイントがある。

 現在、日本でも、震災復興の現場において、様々な地元の方々のビジネスをサポートする動きが起きている。農家の方々や女性たちの収入向上を図るため、何かビジネスを始めよう、とモチベーションを高める苦労がされているが、分断されたコミュニティの中で、新たにビジネスを始めるのは至難の業である。

 実は、BOPビジネスの現場でも、私たちは全く同じ状況を目の当たりにしている。自然災害を受けたり、慢性的な職不足に悩んだりしている地域では、コミュニティが出来上がっておらず、人々はなかなか「起業家精神」を持つに至らない。それはその土地の人々の気質や地域の環境も影響しているが、やはりコミュニティ内のネットワークが分断されていると、会話も起こらず、人と人の交流が少ない。

 これは商売をする素地がないのと同様で、こうした文化の中ではビジネスをスタートしにくく、「起業家精神」を掘り起こすにはかなりの時間がかかる。これは、地域活性化の現場でも、会社の中でも、同様に見られる風景ではなかろうか。

 今回では、コミュニティが出来上がっていないBOP層の住む村々で、「起業家精神」をどのようにして掘り起こしていくのか、そこにポイントをしぼってお伝えしたい。これは東北震災復興の現場とも繋がるポイントになるだろう。