自分の実力を、仕事の実績のみで周囲に伝えようとしても伝わらない。自分に関する評判を戦略的に築く、すなわち「自己のブランディング」を日頃から実践しておく必要がある。本記事では、そのための3つのステップを、パーソナル・ブランディングの専門家が概説する。


 パーソナル・ブランドの構築が有益であることは、誰でも知っている。優れたレピュテーション(評判)を築いていれば、魅力的なキャリア上のチャンスを呼び込みやすくなるからだ。自分の真の能力が周囲に知られていれば、自分に適した仕事、面白い仕事を任される可能性が大幅に高まるうえ、競争相手がひしめく場所でも目立ちやすくなる。

 センター・フォー・タレント・イノベーションのシルビア・アン・ヒューレットの研究によれば、自分のパーソナル・ブランドを高めることは、スポンサー(自分の能力開発と昇進を後押ししてくれる有力なリーダー)を獲得するための最善の方法の1つである。そして、スポンサーを持つプロフェッショナルは、持っていない同輩と比べて昇進する可能性が23%高い。

 パーソナル・ブランドは、仕事上の不運に対する強力な保険にもなる。勤めている会社でレイオフや人員削減があったとしても、自分の専門分野で認められていれば、別の会社にすぐに拾ってもらえる可能性が大いに高まる。

 ところが、女性のプロフェッショナルの場合、パーソナル・ブランディングには女性特有の困難がいくつか伴う。女性は「好感度問題(likability conundrum)」と呼ばれる現象に直面しがちであることが、複数の研究で繰り返し指摘されている。

 ジェンダーの規範として求められる女性像(女性はこうあるべき)には、愛想がよい、温かみがある、面倒見がよい、などがある。こうした規範から外れる行動を取った女性は(たとえば、困難な決断を果敢に下す、強く主張する、自分を売り込むなど)、男性ならば経験しないような不利を被ることが多いのだ。女性が公の場で「攻撃的すぎる」と批判される、あるいは「アイスクイーン(冷たくて高慢な女)」、「Bワード(bitchの婉曲語法)」といったレッテルを貼られるような例を、誰もがご存じだろう。

 では女性は、この難問を乗り越えて強固なパーソナル・ブランドを構築するにはどうすればよいのだろう。自分の能力を認めてもらうために役立つ戦略を3つ紹介しよう。