勲章はまだまだある。クラブ監督のキャリアをスタートさせたのは1998年の柏からだが、就任2年目には、それまで無冠だったチームをJリーグ杯優勝に導いた。2002年からはガンバ大阪の監督を10年間務め、J1リーグ年間優勝1回、天皇杯優勝2回、Jリーグ杯優勝1回とJリーグを代表する強豪に育てた。2008年にはアジアチャンピオンズリーグ(ACL)を制し、アジアサッカー連盟(AFC)からアジア最優秀監督に選ばれているし、Jリーグの最優秀監督賞も2回(2000年、2005年)獲得している。

 執る戦術も預かるチームによって変える柔軟性がある。アトランタ五輪のU23代表では対戦相手との実力差を考え、堅く守ってカウンターを狙う戦い方で金星をあげたし、得点能力がある選手が揃っていたガンバ大阪では攻撃サッカーを志向し成功を収めた。日本人監督としては屈指の手腕を持っているといえるだろう。

 ただし、思うような成績を残せなかった時期もある。2012年には不振に陥った神戸をシーズン途中から指揮したが、チームを立て直すことができず16位。2014年からは2年間、名古屋の監督を務めたが、9位、10位と中位で終えている。こうした結果から、調子を落としたチームを短期間で立て直した実績がないといわれていることも確かだ。

森保一、長谷川健太ら
Jの名監督にも不振の時代が

 もっとも、率いたチームが好成績を収め、名監督と称えられた人でも、挫折を味わうことはよくある。Jリーグの日本人監督で指導力が評価された人に森保一氏(現U23日本代表監督)がいる。2012年から6年間広島の監督を務め、3回リーグ制覇を成し遂げた。2015年のクラブW杯では準決勝に進出し、南米王者のリーベル・プレートを苦しめ、3位決定戦では世界的名将スコラーリ監督率いる広州恒大に勝って世界3位に輝いている。だが、その2年後の2017年にはチームが絶不調に陥り、17位という散々な成績。不振の責任をとって辞任した。

 その森保氏に匹敵する実績を持つのが長谷川健太氏(現FC東京監督)。2013年、J2に降格したガンバ大阪の監督に就任し優勝。チームを1年でJ1に戻しただけでなく、翌14年はリーグ戦、Jリーグ杯、天皇杯の3冠獲得という偉業を成し遂げた。その翌年もリーグ戦2位、天皇杯優勝、Jリーグ杯準優勝、ACLベスト4という好成績を残している。だが、昨年のリーグ戦は黒星が上まわり、10位に終った。また、2015年から鹿島を率いた石井正忠監督は2年間でチームにリーグ戦、Jリーグ杯、天皇杯の3つのタイトルを導いたが、3年目に失速。現在監督を務めているJ2大宮でもチームを立て直せず下位に低迷している。