もっとも、日本に来た外国人監督には在任期間中、好成績を維持した人はいる。1994年から2年間名古屋の監督を務めたアーセン・ベンゲル氏(現アーセナル監督)、2000年から6年間鹿島を率いたトニーニョ・セレーゾ氏、2004年から3年間浦和を率いたギド・ブッフバルト氏、2007年から5年間鹿島の監督を務めたオズワルド・オリヴェイラ氏などだ。ただ、鹿島のセレーゾ氏とオリヴェイラ氏は最後の2シーズンはリーグ戦で上位に食い込んだものの優勝は逃している。名監督といわれる人でも常勝は難しいのだ。

世界的な名監督にも不調
勝ち続けるのがいかに難しいか

 これは世界的な名監督として名を轟かせている人も同様だ。たとえば2002年日韓W杯で優勝したブラジルを率いたスコラーリ監督。2014年ブラジルW杯でもブラジルの監督としてチームを準決勝まで導いたが、ドイツに1-7という大惨敗を喫し、地元での優勝を期待したブラジル国民を激怒させた。また、2006年ドイツW杯で優勝したイタリアを率いたマルチェロ・リッピ監督も名指導者の誉れ高いが、2010年南アW杯では1次リーグで1勝もできずに敗退。イタリア国民から非難を浴びた。

 ごく少数ではあるが、そうした傷を負ったことがない名監督もいる。チェルシー、インテル・ミラノ、レアル・マドリードなどを率い現在はマンチェスター・ユナイテッドの監督を務めるジョゼ・モウリーニョ氏やバルセロナ、バイエルン・ミュンヘンを経て現在はマンチェスター・シティの監督を務めるジョゼップ・グアルディオラ氏、代表監督ではドイツの監督を務め、2014年ブラジルW杯を制したヨアヒム・レーブ氏などは、チームを低迷させたことがない真の監督といえるだろう。ただ、それは率いたチームが才能あふれる選手ばかりで、もともと強いということもあるはずだ。強いチームでも歯車が狂うと勝てなくなることはある。そうならないようチームをマネジメントする手腕がこうした名監督にはあるのだろう。

 いずれにしてもサッカーで勝ち続けること、チームの良い状態を維持することは至難なのだ。ちょっとしたことでチームの状態は良くもなるし、悪くもなり、それが結果に表れる。多くの監督はその難しさに頭を悩ませ、多かれ少なかれ傷を負いながら監督をしている。

 日本代表の再生を託された西野監督に対する評価にはポジティブな要素もある反面、ネガティブな要素もあるが、今はそれらも参考にならない事態にあるといえる。ファンとしては直前の監督交代というショック療法がチームを良い方向に向かわせることを信じて、見守るしかないのではないだろうか。

(スポーツライター 相沢光一)