40年間の蓄積から導き出した、ダジャレの記号学的構造解析──。「ラップもダジャレだ!」と、ダジャレ界に革命を起こした伝説の書『ダジャレ ヌーヴォー』の著者であり、ダージャリスト、ダジャリエの石黒謙吾が、クリエイティビティの高い知的な言葉遊びをアカデミックに解説する。助詞・助動詞を含めてはいけない、かかりの深さ、母音列&子音列の基本活用、差し替え・加減・倒置など構造の14分類、B面という考え方、遠回りの妙、知的なラリー……。単なるお笑いネタとは一線を画す内容は、地アタマを良くし、スマートなコミュニケーション力も。バカなやつほど「さむ~い」、デキルやつは「クール!」なのである!

創造性がないゆえにダジャレが
思いつかない人ほど「さむ~い」と

 はじめましての皆様も多かりきと思いますがこんにちは。ダイヤモンド・オンラインなどというビジネス系の堅い媒体にダジャレで乱入しまして、恐縮夏彦です。

 水たまりを歩いていた小学校5年生の下校時、同級生の水田君に「水田のねえちゃん、水田真理?」と人生初ダジャレを発してから40年。ダジャレについて日夜、髙倉研鑽あるいは横山研鑽を続けている、ジャーナリストならぬダージャリスト、ソムリエならぬダジャリエの石黒謙吾です。書籍『ダジャレ ヌーヴォー』を出したのは8年前。そのあとは本こそ出していませんが、ダジャレのアカデミックな研究に日々精進さだお、あるいはのり子しています。

 この「科学するダジャレ」というタイトルは、『ダジャレ ヌーヴォー』を書きながら、そして出したあとにたくさん受けた取材に答えながら自然に浮かんできました。それまではただ脳のおもむくままにひらめき、ストックし、自分で面白がっていたダジャレですが、その妙味や魅力を多くの人に伝えようとしていったとき、ダジャレの構造に引き込まれていった。チャート図解で笑いにつなげる分類王としての分類魂、また、編集者としての整理整頓魂が頭をもたげて。

 そして、この最上級のクリエイションとしてのダジャレという言葉遊びがいかに知的であるのか、科学的な見地で分析し解説していこうと思い立ったのです!創造性がないゆえにダジャレが思いつかない人から「さむ~い」などと言われないために、ダジャレのステージをあげなければならないのです!そして、こんなニッチなこと僕がやらなければをやる人がいないだろうと……。

 ダジャレの分析については書きたいことがありすぎて収拾がついていませんが、この連載ではゆるりゆるりと、少しずつ書き綴っていきたいと思っておりますので、どうぞ末永くおつきあい頂ければ幸いです。