スマートフォン(高機能携帯電話)のカメラで商品バーコードを読み取ったり、商品名を入力したりして検索すると、インターネット通販サイトの在庫状況や商品価格が一覧で表示される、価格比較アプリ〈ショッピッ!〉が、3月末から実店舗も対象にサービスを拡充しはじめる。

 デジタルマーケティング事業を展開するアイ・エム・ジェイ(東京都目黒区、廣田武仁社長)のグループ子会社、コードスタート(東京都目黒区、川合純一社長)が運営している。2010年からスタートした同アプリは現在、楽天やヤフー、アマゾンなど約40サイト/6万店舗が登録しており、約60万人がダウンロードしているという。

 コードスタートのセールスグループマネージャー中井智紀氏は、「利用者にアンケートをとると、インターネット通販だけではなく、実店舗の情報も知りたいという要望が多かった」と話しており、その声に応えたかたちだ。

 まずは、ドラッグストア(DgS)や大手CDショップなど小売企業4社が参加する予定で、今後20社程度まで広げる予定だ。コードスタートは、これらの企業のサーバーにアクセスして、商品情報や価格情報などを〈ショッピッ!〉のデータベースに取得する仕組み。企業側の加盟金などは無料で、導入コストもほとんどかからない。コードスタートは広告収入などを収益源とするビジネスモデルになっている。

 価格を公開し、他店やインターネット通販と価格を比較されると、安いほうにお客を奪われるのではないかと思いがちだが、「生活者は、価格なのか、接客サービスなのか、重視する内容に応じて、すでに実店舗とインターネット通販を使い分けている時代」と指摘する中井氏によると、「情報を公開しないと、そもそも比較検討の対象にもならず、販売チャンスを逃す可能性がある」という。

 どのような生活者の利用シーンが想定されるかというと、位置情報によって今いる場所の近くにある店舗ですぐ購入したい、あるいは店頭で買いたい商品を見つけたものの、希望の色やサイズがないときに近隣で在庫があって、いちばんお得な店はどこかを知りたいとき、会社帰りに買いたいので帰宅ルートで購入できる店舗をチェックしたいときなど、実に多様だ。

 ただ、〈ショッピッ!〉を導入すれば、来店客が増えるはずという“受け身”の姿勢では、大きな果実を手にすることはできない。

 実店舗は実際に商品を手にとって確認することができるし、DgSであれば薬剤師などの専門家によるカウンセリングを受けられるという強みがある。このような実店舗の利点をしっかり打ち出して、〈ショッピッ!〉によって来店したお客を含め、来店客を顧客化していくことが本当の意味での導入メリットになってくるだろう。

 コードスタートでは今後、生活者が「いつ」「どこで」「何を」買ったかというデータを分析し、「利用者の購買行動や好みに合ったクーポンを発行するなどして、併売を促進する仕組みも構築中だ」(中井氏)という。


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