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「引きこもり」するオトナたち

「孤独死」を他人事とは思えない!
引きこもる家族が直面する壮絶な生活苦

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第102回】

 現在、現金は家にまったくない。食料や生活のための最低限の買い物は、カードが使える店でショッピング。綱渡りのような生活を続けている。

 それでも、母親は息子をこう思いやる。

 「家を出て、当面の生活ができるようになるまで、どうしたらいいのか。どなたかに現状を知ってもらわないと、不安で仕方がないんだと思います。お金を工面してくれとか、そういうことではないんです。私にも息子にも、そんな気持ちは一切ないんです。でも、どなたに相談すればいいのか…」

苦労をかけた母親のために自立したい
そんな気持ちを裏切る「40歳の壁」

 すでに40歳を超えるAさんの場合、国が定める支援のセーフティーネットから外れている。

 近くの公的機関のサポートセンターにも相談に行った。

 「いちばんの悩みは、お金がないことなんです」

 Aさんが、自立するためのノウハウをそう聞くと、
「それは仕事を見つけて、働かないと、ダメですね」
と返され、ああ、言わなければ良かったと思った。

 「そこまでしか行かない電車みたいなものだ」

 終着駅から先は元々、線路がないんだから、仕方がないと、Aさんは自分の中で処理している。

 「うちが経済的に破たんしてしまったのは、僕と父親のせいなんです」
と、Aさんはいう。

 「母は一生懸命、生活費をやりくりして、家を守ってきました。それを僕と父が食いつぶしてきてしまったんです」

 Aさんが都会へ仕事を探しに行きたくても、その交通費さえままならない。

 「僕が家を出るだけでも、相当な生活費が浮きます。そういうやり方しか、いまの僕にはできない。それに、僕自身、物心ついたころから、父親を『父親』だと思ったことは一度もありません。そういう意味でも、一緒に暮らしていれば、気持ちもすさんでいきます」

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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