すべてのことはマーケティング的に動いている?

 あまりに古い話で恐縮ですが、1980年代から90年代にかけて、テレビが変わったという印象があります。「夕やけニャンニャン」や「オールナイトフジ」などの番組で、製作側の裏側を隠さずに番組に出すようになったことです。

 番組に出るタレントも「スポンサーはこう言っている」「一番偉いプロデューサーがこうしたがっている」「広告代理店の力が強い」ということをわざと表面に出して面白おかしく演出していました。これによってテレビとは、制作者が本当に見せたいものを見せているとは限らず、いろいろな立場の人や会社の意向や思惑によって決まるという「裏側」を一般の視聴者に見せたのです。

 視聴者だって、番組製作の裏にはいろいろあることは察していたことでしょう。それをあえて前面に出すことによって、番組がより身近なものへと変わっていくとともに、裏を読むということが当たり前のようになってきたような気がします。

 この「物事には必ず何か裏がある」という傾向は、2000年代に入るとネットによってさらに増幅されたように感じられます。

「世の中すべてのことには、公式には言えない裏の事情がある。ネットでは、そういう情報を手に入れることができる」

 現代の人々には、人や物事は何か隠された事情によって動いているだろうという考えが根強く浸透しているように見えます。