6000万人中、何人が
幸せなビジネスパーソンだろうか?

 ところで、岩瀬さんが「3つの原則」を述べておられるように、私は『働き方の教科書』のなかでビジネスパーソンの「幸せの3条件」を挙げています。

【新将命氏×岩瀬大輔氏対談】<br />これからの10年を後悔しない働き方(前編)世代は違っても「経営者」という共通の顔を持つお2人。ときどきジョークも交えて会場を沸かせつつ、ご自身の経験やビジネスパーソンへのアドバイスなどを語っていただいた(3月23日、紀伊國屋ホールにて)。

幸せの大前提となるのが「健康」であることは言うまでもありませんが、その基本のうえでビジネスパーソンとしての幸せとは何かを考えると、1番目は「やりたいことをやっている」ことです。

 論語に「これを知る者は、これを好む者に如かず。これを好む者は、これを楽しむ者に如かず(何かを知っているという人は、それが好きだという人には及ばない。しかし、何かが好きだという人も、それを楽しむ人には及ばない)」という言葉があります。つまり、仕事に興味や関心や情熱を持ち、ワクワクモードで取り組めることが大切なのです。

 そして2番目が、「やっていることが人から評価され、感謝されている」こと。3番目は、「やっていることが評価・感謝されるだけでなく、納得のいく収入に結びついている」ことです。

幸せの3条件とは
1.やりたいことをやっている
2.それが人から評価されている
3.そして収入に結びついている

 日本にはいま、およそ6000万人のビジネスパーソンがいると言われます。しかし、6000万人のうち「幸せの3条件」をクリアしている人はいったい何パーセントいるでしょうか? 私がいろいろな方の意見を聞いたかぎりでは、ざっくり言って10%いるかどうかというところだと思います。

 10%の仲間入りをしたいのであれば、「時間」という名前の友達の助けを借りながら、「幸せの3条件」を満たすキャリア作りに取り組まなくてはなりません。まずは、自分が本当にやりたいことをよく考えてみることから始めるべきでしょう。

岩瀬 「好きなことを見つける」というのは、若いうちはなかなか難しいものですよね。しかし、私はこれも考え方ひとつで変わると思うんです。

 たとえば好きな仕事というとどうしても「アパレル」「音楽」というように産業でとらえがちですが、「企画」や「営業」といった職種で考えれば、食品メーカーでも保険会社でも似たような仕事はできるわけですよね。このように「好きなこと」を少し広く定義すると、新さんがおっしゃる「幸せの3条件」に近づけるように思います。