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ニンテンドーとアップルは、新たな電子書籍市場を拓くか?

【第11回】 2008年7月29日
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 松下、ソニーの両雄が撤退を表明したことで“専用端末”の試みが失敗に終わった電子書籍。しかし、市場そのものは勢いを失ったわけではなさそうだ。

 総務省の調べによれば、2007年のモバイルビジネス市場は1兆1464億円と、前年比23%の増加。際立っているのが電子書籍のジャンルで、こちらは前年比220%増。昨今の携帯小説の人気ぶりを反映した数字を叩き出している。

 こと、日本の電子書籍に関して言えば、専用端末ではなく多機能デバイスでの利用が定着しつつある。携帯電話が最たる例だが、その牙城へと食い込む可能性を持つのが「ニンテンドーDS」と、先頃発売された「iPhone」だ。

「DSvision」スターターキット
「DSvision」スターターキット。セット内容は、「USBリーダーライター」「専用microSD(512MB)」「専用アダプタ」となる(DS本体は別売)。

 DSの場合は、従来から「DS文学全集」など、コンテンツをパッケージソフトとして提供してきた。「画面が小さくて読みにくい」と思われがちだが、バックライト付きのDS Liteであれば、読書端末として十分に機能することは実証済みである。そんな実績を引っさげて登場したのが、このほどオープンした「DSvision」。ニンテンドーDS専用のコンテンツ配信サイトだ。

 スタート時に用意されたのは、「小説」「コミック」「動画」の3種類。それぞれ新潮社、秋田書店、タツノコプロの作品が並んでいる。各コンテンツの価格は100円から1000円程度。今後1年間に、1000タイトルまで拡充する計画だ。利用者はまず「スターターキット」(小売希望価格3980円)を購入し、PCを介して同サイトからダウンロードするかたちとなる。

 一方の「iPhone」ではこのほど、コミック制作ソフト「ComicStudio」で有名なセルシスが、「iPhone 3G」「iPod touch」向けの電子コミックビューアを開発。「ゴルゴ13」「ケロロ軍曹」などのサンプルコミックを、アップルのアプリケーションストア「App Store」にて公開している。また、日本の電子書籍の草分けであるボイジャーも専用ビューア「T-Time touch」を展開。講談社のコミックを一話115円から配信中だ。「iPhone」の場合は、ワイヤレスでコンテンツをダウンロードできるのが利点といえる。

 従来の読書専用端末との違いは、なんといってもその普及台数。2000万台を超える販売数を誇るDSはもちろん、「iPhone 3G」も世界21ヵ国において、発売から3日で100万台を売り上げるというロケットスタートを見せている。さらにニンテンドーの「Wii」でも、出版大手4社によるコミック配信が計画中だ。

 すべてのユーザーが読書端末として利用するかはともかく、コンテンツを提供する側として、これほど魅力的なプラットフォームはない。「コンテンツの拡充」「低価格」に加え、決済まで端末のみの操作で可能となれば、その裾野は一気に広がる可能性がある。

(中島 駆)

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