財務省セクハラ問題に飛びついた野党の愚、得したのは一体誰か

加計学園問題や財務省の福田前事務次官のセクハラ問題を理由に審議を拒否してきた野党が、ようやく審議への復帰を表明した。だが現状の野党の様子を見る限り、安倍政権の追及は十分とは言えない。むしろ、与党内対立や霞が関内紛争に上手に使われ、振り回されているというテイタラクぶりが目立つ。(室伏政策研究室代表、政策コンサルタント 室伏謙一)

財務前次官のセクハラ疑惑で
野党が審議拒否するのは無理筋

 野党の審議拒否により半ば空転状態が続いていた通常国会だが、野党は態度を一転、7日に審議復帰に向けた動きを本格化させた(もっとも、このタイミングで国民民主党が設立されたこともあり、新たな院内会派の結成や国民民主としての各委員会の理事の人選等に時間を要し、すんなり審議復帰、国会正常化とはいかないかもしれないが)。

 野党が審議拒否の「主な理由」として挙げてきたのは、加計学園問題に関し、元総理秘書官の柳瀬経済産業審議官の国会への証人喚問要求に与党が応じないこと、そして、女性記者へのセクハラ疑惑に端を発して財務省の福田前事務次官が辞任したことを受けて、麻生大臣が任命権者としての責任を取って辞任すべきとの要求に与党が応じないことだった。

 前者を与党に突きつけて交渉するというのは、加計問題が国の制度の恣意的運用、乱用に関する問題であることからすれば妥当であると言えるし、事実関係が明らかになれば、これまで国会での安倍総理や関係閣僚、政府参考人(役人)の答弁が虚偽であった可能性も出てくるわけであるから、虚偽答弁を繰り返すようであれば国会審議など成り立たないとの主張も成り立ちうる。

 しかし、後者については、財務省事務方トップのセクハラ疑惑はただされるべき問題ではあるとしても、それをもって財務大臣の任命責任を追及し、辞任まで求めるというのは話が飛躍しすぎである。それに与党側が応じないからといって審議拒否をするというのは、そもそも少々無理筋だったといえる。