「若手女性社員の育て方がわからない」と悩む男性管理職が増えている。個人主義で順応性がない、注意しても言うことを聞かないなど、彼らを悩ませる女性社員には、マナーに問題があるケースが多いようだ。ベストセラーとなった『女性の品格』『幸せの作法』などの著書を通じて、ワーキングウーマンの生き方について多くの提言を行なってきた坂東眞理子・昭和女子大学学長に、企業が若手女性社員を育てる秘訣を聞いた。男性管理職は、ぜひ耳を傾けて欲しい。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也、撮影/宇佐見利明)

――「若手女性社員の育て方がわからない」と悩む男性管理職が増えていると言われます。坂東学長は、その理由をどうお考えですか?

『女性の品格』著者・坂東眞理子が教える<br />失敗しない若手女性社員の「マナー教育術」ばんどう・まりこ/1946年生まれ。富山県出身。昭和女子大学学長。東京大学卒業後、1969年総理府(現内閣府)入省。統計局消費統計課長、埼玉県副知事、在豪州ブリスベン総領事、内閣府男女共同参画局長などを歴任。退官後、2007年より現職。300万部を突破するベストセラーとなった『女性の品格 装いから生き方まで』(PHP新書)をはじめ、『親の品格』(PHP新書)、『幸せの作法 働く女性に贈る61のヒント』(アスキー新書)など著書多数。

 企業の管理職に求められる役割は、仕事で成果を出すことばかりでなく、「人を育てること」でもあります。特に新入社員などの若い世代に対しては、「社会人としての基礎能力やマナーが全く身についていない人をこれから育てる」という前提で接しなければなりません。

 ところが多くの男性管理職は、「彼女たちは20歳を越えているのだから、立派に社会常識を備えており、大人の立ち振る舞いをできるはずだ」などと思い込みがちです。それは大きな間違いです。

 昔は家庭や学校で人との付き合い方、挨拶の仕方などを自然に学ぶことができましたが、今はそれよりも、伸び伸びとした個性的な人間に育てようという風潮が主流になっています。

 それ自体はとてもよいことですが、こういう世相のなかで、「人付き合いの入門編」さえ身につけていない若い世代が多くなっているのではないでしょうか。実際に、挨拶や礼儀がなっていない、職場に順応できない、注意されても言うことを聞かないといった個人主義の女性社員は、どんどん増えています。

 男性管理職は、「自分たちが若い世代を一から教育しなければならない」と、腹を決めるべきでしょう。