屋台骨である国内の化粧品事業の縮小傾向が止まらない。利益は出ているものの、ネット活用など抜本的な改革は待ったなしだ。

資生堂社長 末川久幸<br />国内化粧品事業のてこ入れへ<br />ウェブマーケを本格展開
Photo by Daisuke Aikawa

──国内の化粧品事業の状況は。

 2007年以降、化粧品市場の縮小が続いており、弊社も売上高の減少が続いている。出荷ベースの売上高は、11年度第3四半期で3.3%減少した。ただしわずかながら光明は差してきた。百貨店での販売は、外国人客の減少や節電などのハンディがあったにもかかわらず、5%程度も増加した。

 てこ入れ策として実施したのは、新製品の半減だ。新製品対応に使っていた労力を顧客との触れ合いに充てた。ハンドマッサージなど顧客の肌に触れるという活動強化を徹底したところ、再来店する人が前年比10%増加した。地味な施策だが、愚直に取り組んでいる。

──ウェブマーケティングを本格展開する。

 20代、30代の女性は目の化粧と爪の手入れにお金をかけている。ただしドラッグストアには数百種類のマスカラが並び、ネット上にはさまざまな情報が飛び交っており、何が正しいのかわからなくなる。若い女性でもカウンセリングを受けたがっている人は多く、ウェブを活用してカウンセリングニーズに対応する。

──どんな取り組みになるのか。

 「ビューティー・アンド・コー」という美と健康に関するポータルサイトを4月にスタート。弊社以外にもパナソニックなど28社が参加する。専門家による信頼性が高い情報発信や、コラボレーション企画を立てて集客する。

 その傘下に資生堂が運営する総合美容サイト「ワタシプラス」を21日に開設する。自宅や職場の近くにある化粧品販売店や、眉毛描きなどの得意技術を持った販売店を探せる。自宅に居ながら美容法や商品について相談できる。ネットショッピングも可能だ。化粧品事業を大きく変革させる。