志麻さんとの対話

 私は、改めて、志麻さんを直撃した。

編集:「志麻さん、チョコレートムースって、いつから作っていたんですか?」

志麻:「プロの料理の世界にいた時は、もっと手の込んだものでした。本書にある、シンプルなものは、フランス人の友達、家族から教わったものです」

編集:「フランス人は、シンプルが好きなんですね」

志麻:「はい」

編集:「各家庭で、チョコレートムースを作ろうと思ったきっかけって、何ですか?」

志麻:「作りおきのレシピとしてデザートを作ってあげたい。簡単でどこでもできるもののひとつとして」

編集:「私みたいにチョコレートはあまり好きじゃない、という人は多いですか?」

志麻:「多くはないですが、寺田さんのような人もいますよ(笑)」

編集:「板チョコ2枚、200円で極上スイーツが家庭でできる。驚きました。チョコレートムースのコツってなんですか?」

志麻:「チョコレートムースは、卵白の泡をいかにつぶさないかがポイントです。そうすると、ふわふわの『チョコレートムース』ができます」

編集:「私も実際に、に書いてあるとおりに作ってみると、なんとか形にはなりました。でも、食べるまで信じられなかったのですが、実際食べてみると、チョコレートムースがのどを通る瞬間が心地いい! 十分に泡立った卵白とチョコレートの甘みが溶け合って、とっても品のよいハーモニーを演出! 普通のチョコがこんなふうに化けるのか! と衝撃の初体験でした」

志麻:「そう言っていただけると嬉しいです。チョコムースは、フランス人の友達と集まってパーティをしたりすると、必ず誰かが作るデザートです。
 しかも、若い男の子でも、普通にサクッと作ります。
 こういう手軽さが、やっぱり誰でも作れて、また作ろうと思える。
 フランス料理は、難しいとか高級とか、そんなイメージがあるかと思いますが、本当はこんな一面もあって、私は、そんなフランス料理を皆さんに知ってほしいと思っているんです。
 本書に載っているレシピは、どれもシンプルで作り方も簡単だから、これなら作ってみようかなと思えるとよく言われます。
 フランス料理とか難しい料理名なんかどうでもよくて、家庭でリピートして作ってくださる、それが一番嬉しいです。
 そういう意味でも、このチョコムースはすごく簡単で、さっと作れるんじゃないかなと思います。そして何より美味しいのが一番です。ポイントは、ブラックチョコレートを使うこと。泡が消えないように混ぜること。この2点だけ

編集:「わが家では、その日に1つずつ食べ、冷蔵庫に入れて保管。翌日、残ったものを食べたのですが、これまた微妙に違った、ややかための食感が楽しめ、美味しかったです。最後に、テレビに出演された方々にもチョコレートムースをふるまったとか。どんな感想が寄せられましたか?」

志麻:「これは番組で放映されるかわかりませんが、先日、ある芸能人のお宅をお邪魔して、チョコレートムースを作ったんです。そしてスタジオのゲストの方々にも食べていただいたところ、めちゃくちゃ反応よくて、チョコムースだけで店出しても売れる! と言われました」

編集:「ほんとですか! あれは一度ぜひ食べていただきたいですよね。貴重なエピソードをありがとうございました」

 彩りあざやかで、冷蔵庫の少ない食材でできる志麻さん「プレミアムレシピ」の数々は、連載第1回を、ぜひご覧いただければと思います。