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デジタル変革の時代に
IT部門はどうすれば企業の役に立つか

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第80回】 2018年5月18日
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IT部門に求められる2つの役割

 IT部門がビジネス戦略に貢献する業務を拡大させ、デジタル技術を活用したイノベーションの推進やデジタルビジネスの創出に深く関与していこうとした際、従来の経験やノウハウが役立つ場面もあるが、基本的なスタンスや意識を大きく転換しなければならない点も多い。新たに身につけなければならないスキルもある。

 例えば、投資判断、プロジェクト運営、システム開発などにおいては、これまで綿密な計画に基づいて確実に遂行するPDCAサイクルが重視されてきた。これに対して、イノベーションの取り組みでは、OODAループ(監視:Observe-情勢判断:Orient-意思決定:Decide-行動:Act)を素早く繰り返すことが有効となる(本連載第75回「イノベーションを巻き起こすには企業のIT部門にも“二刀流”が必要か?」)。

 構築・運用するシステムも、事実を正確に記録することが重要なSoR(Systems of Record)ではなく、SoE(Systems of Engagement)であることが多く、事前の定義よりも変化に対する即応性と柔軟性が重視される。投資についても費用対効果を重視する姿勢だけでなく、リスクを取りつつ未知の領域に対しても戦略的な投資を行う姿勢が求められる。従来のIT業務を確実に遂行しつつ、イノベーションを推進または支援していくためには、IT部門は二刀流を身につけなければならない(図2)

 IT部門がイノベーション推進の主体ではなく側面から支援する立場であっても、OODAループやSoEに対応したスキルが求められる。全てのIT部門人材が二刀流になる必要はなく、役割分担するなどして組織として両面を持つことが重要となる。少なくとも一部のIT部門人材がこれに対応できるように、人事ローテーション、育成、採用、意識改革などを図っていくことが望まれる。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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