ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経営のためのIT

デジタル変革の時代に
IT部門はどうすれば企業の役に立つか

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第80回】 2018年5月18日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
4

 業務価値は高いが、スキル依存度は低い領域(第二象限)は、IT部門がビジネスに貢献するうえで重要であるが、特定のスキルには依存しない業務である。戦略的な業務のためアウトソースすることは困難であるが、特定のスキルを必要としないため、補完的に外部の能力を活用することができる。デジタルイノベーションのためのコンサルティングの活用、アイデアソン/ハッカソンなどによる外部の知恵の活用、プロトタイピングなどによるコンセプト検証のためのベンダーとの協業などがこれにあたる。

 また、業務価値もスキル依存度も低い領域(第三象限)は、特定のスキルを必要とせず、ビジネスには直接寄与しないため、定型業務化するかアウトソーシングの活用が考えられる。コモディティ技術(パソコンなど)の管理や運用における定型オペレーションなどがこれにあたる。また、技術的な実務を習得する「OJTの場」としてキャリアパスの過程にこの領域の業務を組み込むことも可能である。

 最後に、業務価値は低いがスキル依存度が高い領域(第四象限)は、ビジネスに直接貢献しないオペレーション・レベルの業務を遂行するために特定のスキルを必要としていることから、業務のやり方や採用している技術を見直す必要がある場合がある。標準化されていないITインフラの運用プロセスや自社開発の業務アプリケーションの保守などがこれにあたる。ただし、この領域の業務が適切に実行されない場合、日常業務の遂行に影響を及ぼす可能性があるため、リスク管理を強化する必要がある。

 何事を進める際にも向かうべき道筋を示す航海図が必要であるが、それを明確にするためには、現状と今後における各業務の特性を分析することが有効な第一歩となる。組織機能を構成する各種業務(図1の20分類)のそれぞれが、業務ポートフォリオのどの象限に位置するかを明確にすることでIT部門の役割を再定義することが求められる。

previous page
4
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


経営のためのIT

日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

「経営のためのIT」

⇒バックナンバー一覧