今までのゲームは終わり、<br />新しいゲームが始まっている。<br />宮台真司が「よるヒルズ」と<br />シェアハウスの未来を語る

シンペー 僕最近、そういう関係を構築する場や共同体について思っていることがあるんです。都市生活者には3つの“居場所”が必要だといわれますよね。第1の場所(ファーストプレイス)が「家」。第二の場所(セカンドプレイス)が「職場」。そしてその2つの中間地点にある第三の場所が「サードプレイス」。閉じ気味の家庭や職場の関係を忘れて、人間関係をつくったり、くつろいだりできる場。スターバックスコーヒーが、自分たちのカフェをサードプレイスと位置づけたことで有名ですが。

 で、僕はよるヒルズのことを「シックスプレイス」と勝手に思っているんです。家族のように生活をともにしているし、同僚として住民それぞれと仕事やプロジェクトをしている。でもその場はオープンだから他の人とも気軽につながり、新鮮な交流が生まれる。1、2、3それぞれの場の要素を掛け合わせているプレイス(1×2×3)=シックスプレイス。

 直感を指す「シックスセンス」のニュアンスもこめて。本一冊書けるくらいの新しい概念なんじゃないかって思って、僕の中で勝手に定義して温めています(笑)。

 真面目な話、僕は「家」って可能性に満ちていると思っています。ほとんどの人が自分のアカウントみたいにそれぞれ1つずつ持っている。考えてみたら、郵便局やコンビニなんかよりずっとたくさん存在しているわけですよね。それを核にしてライフスタイルをネットワーク化していけたら、地方も含め、日本は変わるかもしれない。新たなセーフティネットとして機能したり、孤独や不安を防いだりしながら、互いをよく刺激しあう環境を作れるかもしれない。まだ全然イメージしきれているわけではないけど、未来に価値を生むモデルをつくれたらいいなぁって思っていますね。

宮台 なるほど、とても面白い発想だね。

 一方で、表面上のイイコトばかりが強調されている「シェアハウス」がブーム化されることに危機感を抱いているんだ。

「シェアハウスの未来」を理解し、把握する。そして、そこを目指すという意欲を持続できないと、この動きはつまらないものに終わってしまうんじゃないかってね。