金融不安は小康状態に入ったが……。
足もとの「金融相場」に見える不安

 一時期懸念されていたユーロ圏の信用不安問題や原油価格高騰などの問題は、とりあえず最悪の状況を脱し、足もとで小康状態を保っている。それに伴って、金融市場は世界的に少しずつ安定性を取り戻しているように見えた。

 そうした状況の背景には、世界の主要国が金融を緩和し、潤沢な流動性=お金を供給していることがあることを忘れてはならない。ユーロ圏の中央銀行であるECB(ユーロピアン・セントラル・バンク)は、昨年12月21日と今年2月29日に、合計で約1兆ユーロの資金を市中に注入した。

 米国のFRBは、昨年6月までQE2(量的緩和策第2弾)で6000億ドルの紙幣を刷って市場に供給した。わが国の日銀も、今年2月に10兆円の追加金融資産購入=資金供給を発表した。

 さらに、中国などの新興国でも金融政策は緩和気味に運営されており、世界中に資金が有り余るほど潤沢に供給されている。資金が潤沢に供給されると、基本的に金融機関や企業の資金繰りは楽になる。

 資金繰りに余裕が出ると、多くの人々は「お金を使おうか」という気になり易く、景気は回復傾向に向かう可能性が高まる。

 潤沢な資金の一部が、投資資金として株式市場などの金融市場に流入すると、株価は堅調な展開を示す可能性が高まる。いわゆる“金余り相場”、あるいは“金融相場”と呼ばれる展開になる。

 しかし、“金融相場”には一種の危うさもある。景気の回復が進むと、いずれ金融政策は緩和から引き締め気味に転換期を迎える。そうなると、頼りの“金余り”の状況に微妙な変化が生じる。

 問題は、そうした状況を乗り越えて、本物の景気回復が実現できるか否かだ。回復が本物になれば、景気は上昇傾向を維持し、金融市場もそれなりの堅調な展開になる。

 一方、それができないと、再度景気の先行きは不透明になり、金融市場も不安定な展開になる。そろそろ、分水嶺に近づきつつある。金融緩和は時間稼ぎに過ぎない。