反対に細胞膜は脂質でできているため、むしろ脂を制限することは危険であり、良質の油を積極的に摂ることが大切だという。その一番のお勧めがオリーブオイルであると、本書は説いている。

 これまでダイエットのために我慢してきた脂肪。それは徒労であったわけだが、少なくとも今後は、オリーブオイルのような良質の油なら積極的に摂っていいということが分かったのは嬉しいことだ。

その食べ方間違ってます!
(2)健康のために気を付けるのはカロリー?糖質?

 本書で、「太る唯一の原因」と言い切っている糖質。しかしそれ以上に衝撃だったのは、日々の不調の原因も実は糖質にあった、ということだ。

 皆さんの中には、「血糖値スパイク」という言葉を耳にしたことがある人も多いと思う。昼食で丼ものや麺類を食べた後、急激な眠気やだるさに襲われる。私はこれを、お腹がいっぱいになったがゆえの自然現象ぐらいにしか捉えていなかった。が、実はこれこそが「血糖値スパイク」の現象だったのだ。

 空腹時に大量の糖質を摂ると、本来ジワジワ上がっていくはずの血糖値が急激に上がる。すると体は、急いで血糖値を下げようと大量のインスリンを出す。その結果、必要以上に血糖値が低くなる低血糖状態に陥ってしまう。これが、眠気やだるさといった不調を引き起こしていたのだ。ひどい場合は動悸やめまいなどが起こるだけでなく、意識を失ってしまうこともあるのだという。

 ダイエットのためにはカロリー制限が一番、そう思っていた人は今一度自分の食生活を見直す必要がありそうだ。

その食べ方間違ってます!
(3)昔からの「正しい食べ順」は大間違い?

 とはいえ、糖質は私たちの体にとって必要なものでもある。

 いくら日々のパフォーマンス力を下げてしまうからといって、完全に摂らないのも良くない。では体にダメージを与えない糖質の摂り方とはどのようなものなのか?

 最大のポイントは、食べる順番にある。比較的糖質の少ない野菜(根菜や、甘いトマトはNG)や、肉や魚を先に食べれば、消化に時間がかるため、その後に米などの炭水化物が胃に入ってきても、血糖値は急激に上がらないのだ。

 脂肪もコレステロールも我慢する必要はない。ただ食事の最初に野菜や肉、魚を食べる。それだけで肥満はかなり防げるのだ。その昔、小学校で推奨されていた「三角食べ」(和食を食べるときに飯と味噌汁とおかずを“順序よく食べる”方法のこと)も、一見バランスよく食べられるように見えて、糖質を考えた健康的な食べ方から見るとNG。