ネスレ日本社長兼CEO 高岡浩三<br />日本法人の営業利益率は16%<br />高収益支える商品ブランド力
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──ネスレの2011年の売上高は、約7兆4600億円で前年比7.5%の実質増収となった。好調の要因は何か。

 世界すべてのエリアで、成長国のみならず先進国でも4.3%の増収を達成できた。増収増益に加えて増益率の成長も達成した。

 特にネスレ日本は、11年は過去15年でも最高の業績を達成。売上高は3.2%、営業利益は12.4%増加した。営業利益率も16%台半ばに達した。国内の大手食品メーカーの営業利益率の平均は約3%で、それに比べると高い水準だ。

──なぜ高収益を維持できたのか。

 強い商品ブランド力だ。ネスレの売上高の7割は、一つで1000億円以上の売上高を持つ強い30ブランドが支える。ネスレ日本も、インスタントコーヒーのネスカフェ、チョコレート菓子のキットカット、キャットフードのフリスキーなどのトップシェア商品を持ち、それらに企業ブランドよりも多額の投資を行っている。

 強い商品ブランドは利益確保にもつながる。小売りの現場で実際にコーヒーの値上げができたのは、同業の中でも当社のみだ。

──強い商品ブランドをいかにして育成するのか。

 むやみやたらに新商品を出すのではなく、全く新しいカテゴリーとなるような大型商品を数年に1回投入し、それに投資を集中させている。

 1人分ずつパックしたインスタントコーヒーからレギュラー並みの味のコーヒーが入れられるコーヒーメーカーのシステム「バリスタ」などがそれで、高いシェアを確保するとともに確実な収益源となっている。