逆風にさらされているマカオのカジノPhoto by Konatsu Himeda

「世界一のカジノシティ」といえば、中国の特別行政区のマカオだ。1999年に実施された中国への返還以降、大陸客の個人旅行解禁とともに拡大の一途をたどり、その賭博収入は2013年にラスベガスを超えた。

 しかし、そんなマカオのカジノ産業も近年、逆風にさらされている。習近平政権の倹約令とともに、カジノの重要資金源ともいわれた中国の公務員、つまりVIP顧客が姿を消したからだ。

 それは数字でも明らかだ。マカオ政府の統計によれば、マカオの産業に占める「カジノとカジノ仲介業」の割合は13年に63.10%とピークに達したが、14年以降は落ち込み、16年には産業に占める割合も5割を切るまでになった。

マカオの脱カジノは遠い

 近年の世界の潮流は、「脱賭博」である。マカオ政府も「賭博イメージ」の払拭に努めており、マカオのカジノ産業全体が「非カジノ」に力を入れざるを得なくなっている。統合型リゾート(IR)とは、“カジノ臭さ”を消すための一つの手段だが、隆盛を極めたマカオのカジノ業界も転換期を迎え、IRという「新たな方向性」を模索するようになった。