写真=2018/04/25 Tribeca Film Festival photographer credit/(C)Taiana Kiseleva 2018、2018/04/26 National Sawdust Live Photo Credit/(C) Adrien Potier 2018

教授動静【第4回】坂本龍一<br />5月に入って小休止。この4カ月を振り返る

 2018年4月の教授はお疲れだった。なにしろ2月にベルリン国際映画祭に審査員として参加した後はフランスに移動して、3月上旬はフランス・ツアー。それが終わると今度は日本で、東北ユースオーケストラのコンサートを中心に、東京、九州、京都、仙台と日本中を飛び回った。ようやくすべての仕事を終えて日本からニューヨークに飛び立ったのは4月の初旬。桜ももうとっくに散った頃だった。

 今回は長旅の疲れもようやく癒えた教授に近況や今後の予定を教えてもらった。

「日本から戻っても、いつもは1週間ぐらいで時差ボケが取れるのに、今回は長かった。2週間ぐらいぼ〜っとしてしまって仕事もなにも手につかない状態でした」

 ニューヨークに戻ってからの教授のいま現在の主な仕事は、2本の映画の音楽と、アルバム『async』に参加した三味線奏者・本條秀慈郎に委嘱されたオリジナル三味線曲の作曲。そしてある海外アーティストのリミックスの作業だという。懸案のオペラの作業は着実に進みながらもまだまだ道のりは遥かなよう。

「2本の映画のうち1本は香港映画で、これはテーマ音楽を2曲を作るぐらい。もう1本は台湾の映画監督の作品で、これはすべての音楽をやります。ただ、監督から全くなんの指示もなく、ぼくの好きなようにやっていいと」

 映画といえば、日本ではブルーレイの発売も間近(5月25日発売。配信はすでに行われている)なドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto:CODA』(以下CODA)は、先の4月25日に教授の地元であるニューヨークのトライベッカ映画祭で全米初のプレミア公開が行われた。映画祭の会場となるマンハッタンのダウンタウンの各上映会場の中でも大きい方の映画館での上映だった。