Olasonic

 インターアクションは5月17日、「Olasonic」(オラソニック)ブランドの新製品発表会を開催した。Bluetoothスピーカーの「IA-BT7」を6月8日に発売する。色はウォルナットとシルクホワイトの2色。価格はオープンプライスで、店頭での販売価格は3万円程度になる見込み。

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IA-BT7のウォルナット仕上げ

 インターアクションは昨年10月に、東和電子からオラソニック事業を継承した企業。1992年の創業で、CCDやCMOS向けの光学精密機器を手掛けてきた。「ひとことで言えば光の会社」(木地伸雄代表取締役副社長)。ソニーやサムスン電子が主要取引先で、検査装置の海外シェアは海外で70%以上、国内で80%だという。車載機器などIoT関連に強い企業でもある。昨年東証1部に上場した。

 IA-BT7を皮切りに、Bluetoothを活用し、AIやディスプレーデバイス(スマホ)と連携できる高音質で付加価値のある製品を市場投入する。「高音質な仮想現実の創出」に挑戦する。

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木地伸雄氏
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小野裕二氏

 Olasonicは2010年の卵型スピーカー「TW-S7」以来、小型で高音質の製品開発に取り組んできた。2013年の「NANO-COMPO」シリーズなど特徴的な製品を数多く市場投入しており、他メーカーにない個性的な製品が多くあるのが特徴だ。

 IA-BT7はスマホ連携を主眼に置いた製品となる。音楽/動画配信、ラジオ放送やインターネットテレビ放送など様々なコンテンツを「スピーカーのいい音で楽しめるようにしたい」という想いで開発した。オラソニック事業部の小野裕二事業部長は「スマホオーディオの伴侶として最適な製品」とする。

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Echo dotと連携したデモも実施された

 実売3万円程度の製品だが、音質は非常に優れている。小型の製品とは思えない重低音と、クリアーなボーカルが印象的だ。小編成のクラシック再生でも低弦のゴリっとした質感などが楽しめ、音に臨場感があった。

 筐体にはリアルウッドを採用している。開発には株式会社SOZOデザインの技術協力を受けている。プラスチックやアルミなどではない、あえて加工に手がかかる木材を利用したのは、やわらかで広がり感のある音が得られるためだ。シルクホワイトの筐体はピアノフィニッシュ4層塗り。ウォルナットは木目を生かしたオイル塗装を施している。本体サイズは幅275×65×144㎜で、重量は2200gだ。

 2.1ch構成となっており、直径110㎜のサブウーファーに加え、パッシブラジエーターも設け、豊かな低音を実現している。57㎜のフルレンジスピーカーは40kHzまでの再生が可能だ。

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 こだわりはBluetoothモジュールで、クアルコムの「CSR8675」を使い、自社開発で高音質にこだわったモジュールを設計した。NFCを使ったペアリングも可能だ。コーデックはLDACとaptX HDに両対応。ハイレゾ相当の伝送を実現した。Bluetoothの入力信号は、受信した後、96kHzのデータにアプコンして処理される。なお、3.5㎜のアナログ入力は「AI/AUDIO IN」と表記されている。スマートスピーカーからなどから入力した音を96kHz/24bitにA/D変換して再生する。

 アンプ部はTIの「TAS5782」を2個使用したバイアンプ仕様。フルレンジのステレオスピーカー部とサブウーファー部をそれぞれを独立したアンプで駆動する。クロスオーバーは200Hzに設定しており、信号の切り分けには内蔵のデジタルのチャンネルデバイダーを使用している。さらにDSPを使って細かな音質チューニング、フィルター処理ができる特徴を生かし、開発時の音質調整もパソコンのGUI画面から細かく設定したという。

プロの耳を通したチューニング

 開発に当たっては「プロの耳」も参考にした。製品をスタジオに持ち込み、安室奈美恵や今井美樹、福山雅治など著名アーティストの音源制作を手掛けている、ミキサーズラボの内沼映二会長や三浦瑞生社長の意見を反映した音質チューニングを施したという。

 発表会で登壇した内沼会長は「音楽制作の感性を盛り込んだ製品になった」とコメント。ミキサーズラボでは、これまでもパナソニックのカーナビ「ストラーダ―」シリーズの音質チューニングを手掛けてきた。そのノウハウも生かせたとする。10年ほど前、最初にパナソニックと協業をした際のエピソードにも言及した。「エンジニアが音をフラットに調整した製品を持ってきたが、とても聞けたものではなかった。音楽表現に必要な、躍動感・空気感・音色感が表現するためには、単純にフラットな特性を選べばいいというわけではない」と当時の思い出を振り返った。

 IA-BT7については「三浦と一緒に思い通りの音作りができた」とする。「20Wの出力だが、その予想を上回る立派な音が実現できた」「Bluetoothも高音質にはどうかと懐疑的だったが、実際にやってみたら結構いけるね」などと感心した様子も示していた。

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内沼映二氏
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山本喜則氏

 SOZOデザインの山本喜則代表取締役CEOは、2010年に東和電子がOlasonicブランドを立ち上げた際に社長を務めていた人物だ。「創立して2年の新しい会社だが、Olasonicやソニーのメンバーが主体になって作ったベテランの多い会社でもある」と簡単に自社を紹介したうえで開発の経緯を紹介。「企画が立ち上がった昨年当初は、スマートスピーカーの開発を意図していた」が、海外市場の動向を見ながら、数千円の単価では、高音質を実現するために必要なコストに見合わないという判断に至った点や、利便性の高さがある一方で、スマートスピーカーの音質に不満を感じている層が多い点などを考慮しながら、高音質なBluetoothスピーカーの開発に移行したとした。

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 IA-BT7のこだわりは、Bluetoothモジュールを新規に開発したことだと書いた。普通なら中国や台湾のメーカーが提供する部品を調達して載せるところだが、音質面では不満が残る。そこで高音質を得るために自社で新規に取り組もうと考えた。開発経験のない中、周囲の意見などを聞きながらゼロベースでのスタートとなった。

 「簡単にできるという人もいれば、大変だからやるものではないという人もいた。結局、答えが出なかったが、がんばってやってみた。結論としては、やはり、やめておいたほうがよかったというのが正直なところ(笑)。非常に大変だった。しかし結果として非常に音のいいBluetoothモジュールが作れたと思う」と、自信を示した。

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メイン基板(左)とBluetoothモジュール(右)。Bluetoothモジュールはメイン基板の左上に。

 東和電子からインターアクションへと、事業主体が変わったが、IA-BT7のできを見る限り、Olasonicが足掛け9年にわたって作り上げてきた、手に入れやすい価格と小型サイズ、そして高音質というコンセプトは変わっていないと実感できた。スマートスピーカーや定額ストリーミング配信など、音楽再生の環境も少しずつ変化がみられるが、その時代を適切にキャッチアップしながら、良質な製品を届ける同ブランドの活動には期待できそうだ。

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試作した筐体。中央が採用されたものだが、仕上げはいろいろ試したそうだ
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