本欄では、今年前半の株価急落はトランプ米大統領の貿易関税の発表、安倍内閣の支持率低下というイベントに反応して、海外投資家が1~3月で日本株を7.9兆円(現物+先物)売り越したためであり、これを「正当化するのがやや難しく」(3月19日)「リスク要因は相当織り込まれたとみて、相場の短期リバウンドを見込む」(4月16日)としてきた。

 この判断の鍵は企業収益の位置と株価の位置の比較にある。2017年10月の衆議院議員総選挙は大切なポイントであろう。そこから年末にかけて海外投資家が2兆円買い越し、そして「適温相場」と相まって株価が大きく上昇した出発点となったからである。

 次の図では、今年に入ってから株価は急落したものの、企業業績予想は堅調に増加を続けてきた様子が見て取れる(ただし、米国の法人税減税の一時的要因も含まれていると考えているが)。よって、海外投資家の大幅な売り越しは過剰反応ではないかと考えられた。

 その後、4月に入って海外投資家は1.5兆円の買い越しに転じ、現在の株価位置は、大幅な水面下の水準から適正水準まで浮上しつつある過程にあるとみている。

 しかし、2万4167円という今年の最高値は高い壁だ。それは、19年3月期の企業収益が伸び悩むと予測しているからだ。18年3月期の日本企業の純利益は6~7%程度、一時的要因(米国の法人税減税による繰延税金負債の取り崩しなど)によって押し上げられている。

 さらに、前期に比べて今期はドル高、賃金・減価償却費の増加、原油・鉄鋼などの原材料費の増加が追い打ちを掛け、7年ぶりに最終利益はわずかながら減益になると考えている。