故スティーブ・ジョブズはプレゼンの名手として知られましたし、あんなふうに堂々と、人々を惹きこむような存在感と話術があれば…と思う人は多いでしょう。「一般の人でもカリスマ性は手に入れられる」というのは、メディアトレーナー、ボーカルディレクターとして、芸能界のトップアーティストを指導する「表現」のプロである中西健太郎さん。新刊『姿勢も話し方もよくなる声のつくりかた』より今回は、「いい声」を出すことにもつながり、一般の人でもカリスマ性を身に着けるコツについてお伝えします。トレーニングは不要です、ただ意識するだけ!

 前回は、気持ちのいい姿勢の取り方をご紹介しました。

 さらに、存在感を高め、カリスマ性をまとうために、ぜひ日々意識していただきたいことがあります。特別なトレーニングは必要ありません。

 まず、自分の頭上に「天のカーテン」があると想像し、気持ちいいなあと思いながら、さーっとカーテンを開けてみてください。

トレーニングは必要なし!日々○○を意識すると<br />誰でもカリスマ性を手に入れられる!<br />自分の頭上に「天のカーテン」があるとイメージしてみましょう

 実際に、手でカーテンを開ける動作をしてみてくださいね。そこが重要です。

 たとえば、晴れた日に、高い木が茂った大きな公園を散歩すると、葉の間からキラキラと陽の光が降り注ぐようなときがありますね。世界が美しく輝いていて、気持ちいいなぁ、と感じるのではないでしょうか。

 仮に真冬の寒い日であっても、雨が降ってどんより曇った日でも、窓のないミーティングルームでも、そういう太陽のキラキラが注ぐ風景をいつも想像するのです。自分の頭の上は高くて明るい、その光を自分は跳ね返してキラキラ光っていると、いつでもイメージしてください。

 なぜ「天のカーテン」を感じる必要があるのでしょうか。

 それは、自分の体や自分のテリトリーを、いつもより高く大きく感じてほしいからなのです。不思議なことに、自分の認識した広さにしか声は広がっていきません。

 特に、天井を低く感じていると、声は鳴りづらくなります

 本当にある話なのですが、歌のレコーディングをするときにレコーディングスタジオが狭いと、ディレクターがアーティストに、「ごめんね、今日のスタジオすごく狭くて。でも、広くて天井が高い場所で歌っているとイメージしてみてくれる?」というディレクションをすることがよくあります。これも、より響く声を出してもらうためなのです。

 そして、わざわざ、手を上げてカーテンを開けるしぐさをすることにも意味があります。

 ただ頭の中でそっと思うだけより、体を動かして動作をすると、脳が働きやすくなるのです。「本当にここは天井が高くて広い場所なんだ」と認識しやすくなるのです。
 前回ご紹介したとおり、体に余裕をもって大きく感じて、正中線が体の真ん中をズドンと通っているのを感じてください。そんなふうに自分の空間を高く広く感じて周りから受けるたくさんの光を跳ね返してキラキラしているような意識をもつと、不思議とそれまでと違ったオーラを放つのか、周りの人からの見え方も変わってきます。

 ちなみに、スターは本当に光っています。

 僕の友人がニューヨークにある新聞社でCEOをしています。その彼が映画祭の会場でインタビューを取るためにトム・クルーズを待っていたときのこと。脚立に上がって、いったいどこにいるんだ? と見渡したら、顔なんか全然見えないぐらい遠くにいたけれど、人混みの中でもパーンと光っていてすぐに見つけられたそうです。
 トムは長身なわけでもないし、それでも遠くから光が見えたというんです。それをすぐそばの同僚に言って、脚立に上げて確認させたら、やっぱり「本当だ、光ってる!」と言っていたそうです。

 人が光を放つなんてあるの? と疑問に思われるかもしれません。しかし、私たちの目は物質を見ているのではなく、物質が跳ね返す光を見ているわけです。人によって粒子の状態が違えば、光を強く跳ね返す人、そうでない人というのは十分にあることのように思えます。
 事実、最先端の物理の量子力学の世界などを勉強したりしていますと、光は粒子であるとか、エネルギーは観察によって波動になったり粒子になったりするという理解を超えるような研究を発表しています。そうした研究が近い将来、なぜスターは光っているのかとかオーラといわれるようなものの秘密などを、科学的に解明するかもしれません。

 とはいえ、一般の人が急に、トム・クルーズのような光り輝くオーラを放つのは難しいかもしれません。そんなふうに存在感を感じさせるには、まず自分で自分のテリトリーを広く感じることが第一歩ではないか、と僕は思っています。