JDIの東入來信博会長兼CEOJDIの東入來信博会長兼CEO。アップル向け液晶で命脈を保ったかに見えるが、残された時間は少ない Photo:JIJI

「アップルはいつまで液晶を続けてくれるのか」──。これが経営再建中の液晶パネル大手、ジャパンディスプレイ(JDI)の内部で熱い議論になりつつある。

 2018年3月期は、過去最大となる2472億円もの最終赤字を計上した。最大顧客の米アップルが17年秋に発売したiPhoneX(テン)に有機ELパネルを採用したことで、液晶工場の資産価値の減損など構造改革費用1423億円を計上したことが主因。さらにアップルだけでなく、大口顧客の華為技術(ファーウェイ)はじめ中国スマートフォン向け液晶の出荷が急減し、年間1600億円規模の売り上げが消滅した。

 前期のフリーキャッシュフローは539億円のマイナスとなり、資金繰りが再び悪化。4月に海外ファンドや産業革新機構から550億円を調達し、これで当面の運転資金は確保したが、いよいよ売り上げの反転を確実にしなければ、危機が再燃する局面だ。

 反転の期待は、18年モデルのiPhone。今年秋発売の次期iPhoneは、有機ELモデルが2機種に増えて、液晶モデルは1機種に減るものの、足元の「X」の販売不振で液晶モデルの売れ行きが期待されており、JDIは今期の売上高は700億~1400億円規模の増加を予想する。