通常のネット検索ではたどり着くことができないサイバー空間「ダークウェブ」。先のコインチェック不正送金事件を含め、ここ近年でよく耳にするワードだが、この空間では、どんな違法ビジネスが行われているのか。『闇ウェブ』(文藝春秋)の著者で、株式会社スプラウトの代表である高野聖玄氏に聞いた。(清談社 岡田光雄)

普段、我々が閲覧している
ネット情報はわずか1%

ダークウェブでは、さまざまな違法取引が横行しています。麻薬や銃、児童ポルノといった違法な商品のみならず、「サイバー攻撃代行」サービスまで売られているダークウェブ。個人情報も安価に取引されている

「私や家族の情報もすべて漏れた」

 こう憤ったのは、2015年当時、FBI(アメリカ連邦捜査局)長官だったジェームズ・コミー氏。OPM(アメリカ連邦人事管理局)がハッカーからの攻撃を受け、同国政府職員の個人情報が2000万件も流出した事件での一コマである。
 
 日本でも同様の事件は後を絶たない。報道によれば、眼鏡チェーン「JINS」やTOKYO MX、Facebookといった大手企業だけでなく、東京都などの自治体までが個人情報流出の被害に遭っており、その数は17年だけで308万件にも上るという。

 先進国であるはずの日本やアメリカでさえ、サイバー空間では個人情報すら守れない時代なのだ。そして、これらの盗まれた個人情報は、しばしば「ダークウェブ」で売買される。

 通常、インターネットを使う場合、「Google Chrome」や「Internet Explorer」といったウェブブラウザを起動し、「Yahoo!」や「Google」など検索エンジンを用いる。

 しかし、こういった手段で普通にたどり着けるようなサイトは、実はネット空間のわずか1%程度に過ぎず、残る99%は「ディープウェブ」と呼ばれている。個人の「Gmail」ボックスや「Twitter」の非公開ページなど、第三者が勝手にアクセスできないコンテンツがこれに当たる。

 そして、このディープウェブのさらに深いところにダークウェブは存在するのだ。