キャンピングカー市場が米国で急拡大、ブームの意外な主役とは

米国のRVの売り上げは
前年比17.2%も増加

 米国でRV(レクリエーション・ビークル)といえば、一般的にキャンピングカーを指す。米国においてRVは、ファミリーがバケーションをエンジョイするために購入するクルマ、というイメージが定着している。ところが、RV最大のユーザー層は、実はリタイヤした世代だとわかった。現役を退いたユーザーが家屋を売却してRVを住居とし、全米やカナダ、メキシコなどをゆっくりと旅行しながら暮らす、というひとつの理想的なリタイヤ生活がある。

 2017年、米国のRVの売り上げは前年比17.2%も増加し、全体で50万台以上が売れた。RV業界の売り上げは197億ドル(約2兆700億円)と、200億ドルに迫る勢いとなっている。背景にあるのは、リタイヤ生活を迎えたベビーブーマー世代の増加で、これまで米国のクルマの売り上げに大きく貢献してきた彼らが、RVへと移行しつつあるためだ。

 リタイヤ世代に続いて多いのが、ファミリーバケーションを目的としたユーザー。一部には「自由を求めて会社を辞め、RVで各地を転々としながら暮らす」というミドル世代のニッチマーケットも存在する。これはIT企業など、相当に忙しい職場で働き、「お金はもうけたが自分の時間がない。自由がない。そんな人生に疲れた」というユーザーたちだ。それまでの人生とは正反対の、ミニマルでシンプルな生活を目指そう、というスタイル。これはかつてのヒッピー文化につながる考え方といえる。