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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

ミルクキャンディそして乗用車にみる
「上海ブランド」復活戦略

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第100回】 2012年4月12日
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 上海地下鉄の要となる人民広場駅はラッシュアワーになると、利用者はまるで洪水のようにその広大な地下駅を流れていく。シチズンや新潟県など日本企業や地方自治体を含め、多くの企業が人民広場駅に広告媒体としての価値を見出し、積極的に広告を出している。

ミルクキャンディへの思い

 その人民広場駅の一角に、意外にもキャンディ会社の広告が張り出されている。白い兎をモチーフにした「大白兎」というブランドのミルクキャンディだ。1930年代に誕生した上海のブランドのひとつである。

 私も子どもの頃からそのブランドに親しんでいる。文化大革命時代、農村に下放した多くの上海青年またはその他の地方出身の青年にとって「大白兎」ミルクキャンディは都会生活への追憶であり、極貧生活に追い込まれた若者の精神安定剤でもあった。

 新婚生活を喜んでもらうために、結婚式に配られる「喜糖」には必ずと言っていいほど「大白兎」ミルクキャンディが入っている。耐乏生活を強いられていた当時は、「大白兎」ミルクキャンディを入手することが、結婚式を迎える若者にとっての必須事項だった。

 しかし、1978年から始まる改革・開放は、外国のライバルメーカーの中国進出を許し、「大白兎」のライバルブランドがたくさん登場した。一方、「大白兎」自身もブランドイメージの老化劣化現象が進み、消費者が次第に離れてしまう傾向が続いている。この10ヵ月間の営業収入は1639万元(約2億1300万円)あるが、純利益はわずか13.44万元(約175万円)だったと中国のメディアで報じられている。そのためか、最近、「大白兎」を製造する会社の株式の一部が売り出され、「いよいよ身売りするのか」と話題になった。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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