ベンチャー企業のスペクティが開発したニュース配信サービス報道機関に提供されるスペクティの情報。情報が入るとAIが読み上げ音声でも伝えてくれる 画像提供:Spectee

 デビューからわずか2年で、報道機関が軒並み導入を決めたAI(人工知能)を活用したサービスがある。SNS上に投稿された災害や事件などの情報を収集して配信する、ベンチャー企業のスペクティが開発したニュース配信サービスだ。

 SNSの普及で、一般人が火災や事故などの現場の状況を撮影し、警察や消防の公式発表よりも早く伝えることは当たり前の光景になった。スペクティのAIは、SNS上にアップロードされた膨大な情報を精査し、災害や事件に関連していそうなものだけをリアルタイムで報道機関に伝えてくれる。

 提供する“第一報”は、「A市で火災が発生」「B市で交通事故」といったものから、「C市でワニの目撃情報」まで、ニュース素材になりそうなものを網羅する。

 支えているのはディープラーニングを活用した高い画像認識とテキスト解析の技術だ。スペクティのAIはツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどを常時監視しているが、まず、イラストなどの加工された画像を除き、ニュース性がありそうな画像だけを解析する。同社の村上建治郎社長によれば、その数は「毎秒数千枚」。そして、解析した画像に煙や火、消防車などが映っていれば、AIが火災と判断するのだ。

 また、場所の特定には、画像に添えられた文章に加え、画像にある看板などの文字を認識して住所を割り出すこともしているという。

 配信された情報は人間の目でもチェックしており、情報にミスがあれば速やかに訂正している。