世間では春めいた暖かい日が続いているが、毎日のようにテレビで放映される「消費税増税」のニュースが、国民のマインドに影を落としている。しかし、我々に重くのしかかる負担は、なにも消費税だけではない。すでに足もとで、社会保険料の引き上げ、公的給付の減額、公共料金の値上げなどが相次いでいる。この上消費税増税が始まれば、日本の家庭が被る生活苦は「未知の領域」に突入すると言ってもよい。我々の生活はどうなるのか。世間で紹介されているシミュレーションデータも交えながら、迫りくる「負担ラッシュ」の現状と影響を分析しよう。(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)

国会のドタバタ劇も極まれり
日本の家庭に蔓延する「消費税不安」

 毎日のようにテレビで放映される「消費税増税」のニュースが、国民のマインドに影を落としている。3月30日、野田内閣は消費増税を柱とする「社会保障と税の一体改革の関連法案」を閣議決定し、国会に提出した。これにより、消費税率は2014年4月に8%、2015年10月に10%へと段階的に引き上げられることが、現実味を帯びてきた。

 しかし、小沢一郎・元民主党代表を中心に、与党内からも消費税増税に反対する声は根強い。民主党政権と連立を組む国民新党では、法案の賛否を巡って亀井静香代表と亀井亜紀子政調会長が解任され、離党するという「ドタバタ劇」が演じられる事態となった。

 一方、自民党は4月9日に発表した「日本の再起のための政策(原案)」のなかで、「消費税(当面10%)を含む税制抜本改革と行財政改革の一層の推進による持続可能で安定した財政と社会保障制度の確立」の必要性を明記したものの、国会において民主党との議論にすんなり応じる気配はない。消費税国会は、解散含みの政局へと発展しそうな様相を呈している。

 選挙戦を睨み、各政党や議員個人に様々な思惑はあるだろうが、日本の今後を占う重大な問題なだけに、しっかり議論を尽くして欲しいところだ。負担増に直撃される国民からは、「たまったものではない」との嘆き節があちこちで噴出している。

「国民に負担増を求める前に、行政改革をさらに推進してムダをなくすのが先だと思う。野田首相は財務省の言いなりになっているのではないか」(30代男性)

 本当に野田首相が「財務省の言いなり」なのかどうかはさておいても、この男性のように「簡単には負担増を容認できない」という気持ちを抱え、反発を覚えている国民は多いのではないか。