株式レポート
11月8日 14時33分
マネックス証券

第3回 長期投資でリスクは減るか - 広木隆の「投資の潮流」

株式投資のリスクは短期的には大きいが、投資期間が長くなるとリスクは低減する、だから株は買ったら長く保有しなさい、というような説明を見かける。中には、買ったら「放ったらかし」にしておいてよい、などと教えるものもある。短期的にドタバタ動く株価に振り回されずに買ったことさえ忘れてしまえという。ここでいう「リスクが低減する」とは、投資期間における平均リターンのばらつきが小さくなることを指している。但し、投資における本当のリスクは、平均リターンがぶれることではなく、投資の最終価値が望ましい目標から外れてしまうこと、端的に言えば、値上がりを期待して投資したものが値下がりしてしまうことである。

ゴルフに喩えてみよう。30センチメートル先のカップに向かってパターでパッティングする場合と、200ヤード先の目標に向かってドライバーでティーショットを打つ場合とどちらが目標から逸れる度合いが大きいか?多少パターのフェースの向きやゴルファーのアドレス(立ち位置)が狂っていても、30センチ先のカップにはなんとか入るだろう。正しい軌道から逸れる幅が大きくないからだ。ところが、ドライバーのフェースの向きやアドレスが間違っていたら200ヤード先の地点では目標から大きく外れてしまう。またボールの滞空時間が長いことで風の影響も受けやすい。長い距離を飛ばすにはそれだけ不確実な要素が多くなる。当然、目標から逸れる幅も大きくなるのである。

投資も同じで、投資期間が長くなればそれだけ株価は、出発点から大きくぶれていく。上にも下にもぶれるから大きな値上がり益を期待することも可能であると同時に値下がりのリスクにさらされる期間も多い。株価を常に確認することが重要である。

潮の流れがきつい海で遠泳をすることを考える。何も考えず、水に身を浮かべるように泳いでいれば、気づいた時にはどこに流されているかも分からない。トライアスロンなど海の遠泳の基本は、ヘッドアップ・スイムだ。ゴルフでヘッド・アップは禁物だが海で泳ぐ場合、時々顔を上げて遠くの岬、岩礁、沖の旗などを確認しながら自分が今、どこにいて正しい目標に向かって泳げているかを確認しなければならない。時には潮の流れに逆らって必死にもがくことも必要になる。そうでなければ、流されてから気づいても遅いのである。元には戻れない。海では生死に直結するリスクである。

株式投資では命までは取られない。では、この点を疎かにしても良いか?そう考える投資家はいないだろう。金融資産が、命から何番目に大切かはあなた次第だが、大切なものには違いない。
それでもまだ、あなたは長期「放ったらかし」運用を行いますか?
あなたが、もしもゴルフのドライバー・ショットと海での遠泳に、絶対の自信があるなら、止めはしないけれど。


チーフ・ストラテジスト 広木隆

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(マネックス証券)


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