経営×経理

 そうなると、経理スタッフにとって交渉スキルはどちらかと言えば優先順位が低くなる傾向があり、そのような環境下で働く人たちが、業務改善策の導入について上司に交渉するなどということは困難です。そこで上層部や人事部長など、人材育成について主導権を握る位置にある人が講ずべき手段は、経理部員が経理部のマネジャーに昇進する際の基準に、部下の意見を「傾聴する能力」や「引き出す能力」を盛り込んだり、そうした資質を身に着けるための研修を施したりすることでしょう。

 ただ当然ながら、それらの試みは現場で活用されていなければ意味がないので、部下たちの意見を尋ねる必要もあります。たとえば、上司を評価する制度の導入、上層部らに対してダイレクトに意見を伝える場の設定など、アフターフォローも視野に入れなければなりません。

あなたの会社では
経理部員が息を潜めていないか

 あなたの会社の経営状況には、5年ほど前と比べて、何らかの変化が生じていないでしょうか。おそらく、社員の増減や外部の制度改正などにより、何かしらの影響を受けているはずです。

 その間、経理部課長はシステムや体制についての見直しを図り、実行した例があったでしょうか。もしも「不明」「ない」という回答であれば、「意見を言う空気ではない」「ましてや交渉など考えられない」という経理部員が、声も出さずに我慢していることが十分考えられるのです。

 経営活動の核となる経理部にもかかわらず、ここで述べたような課題が懸念される職場であれば、本腰を入れての取り組みが必要。経理実務の担当者の“声”を引き出すには、あなたの一歩が大切なのです。

(ビジネス作家・経理環境改善コンサルタント 田村夕美子)

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大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道

経理スタッフは「定型的な事務作業をこなす人材」と捉えられがち。彼ら彼女へ向けられる仕事の効率化と言えば、“仕訳の自動化”“仕事を属人化させない”といった、表面上の作業の改善を求めるものばかりだ。しかし、本来は経理=経営管理者なのだ。経理の能力を伸ばし、経営のために力を借りるにはどうしたらよいのか。様々な業種の経理畑を歩み、一担当者から管理職まで様々な立場を経験した著者が、経理環境改善のコンサルタントとして、実務者・管理者への支援活動に当たる中で感じたことをまとめる。

「大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道」

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