脳の中枢神経に働く治療薬の創薬に挑む

 医薬品原薬の製造は製薬会社からの受託事業だが、同社では製薬会社のレシピ通りに製造するだけでなく、蓄積されたデータや製造ノウハウを基に、より効率的な製造法を提案する。

白鳥製薬 吉野博
専務執行役員
R&Dセンター センター長

 同社R&Dセンター長である吉野博専務執行役員は、「当社が評価されているのは有機合成における技術力や、アイデアを製品につなげるセンスや発想力の部分。

 今当社が注力しているジェネリック医薬品には、品質やコストに対して厳しい要求があり、世界中の製法特許を回避しながら開発する難しさがありますが、R&Dセンターの研究員は常に競争力のある合理的なプロセスの開発に挑戦しています」と同社の強みを語る。

 その受託事業に加え、現在注力しているのが創薬の分野だ。ターゲットは脳の中枢神経に働く低分子医薬品で、目指すのはアルツハイマー病やパーキンソン病、うつ病や癲癇てんかんなどの治療薬である。

研究員に求めるのは「前例がないからやってみよう」というチャレンジ精神

「現在、世界的に知られるアルツハイマー型認知症の進行抑制剤アリセプトを開発した杉本八郎・同志社大学客員教授らと共同で開発を行っています」(吉野専務執行役員)

「新薬は当たれば大きいが、成功の確率が低く、時間も予算も必要。しかし創薬を通して経験値を積み、研究員のモチベーションを上げるためにも、自社リソースの2割程度を投資しながら、会社の夢として追究しています」と白鳥社長は意気込みを見せる。